ハイパーワールド の商品レビュー
社会学の研究者が、ネット上の仮想空間での、自閉スペクトラム症の人たちの集いを調査・分析した本です。 主体がアスペルガーの当事者たちが多く、仮想空間と自閉症の相性の良さを指摘しています。 これを、SNSと障害当事者に置き換えてみても、結構「そうそう!分かるわぁ!」となると...
社会学の研究者が、ネット上の仮想空間での、自閉スペクトラム症の人たちの集いを調査・分析した本です。 主体がアスペルガーの当事者たちが多く、仮想空間と自閉症の相性の良さを指摘しています。 これを、SNSと障害当事者に置き換えてみても、結構「そうそう!分かるわぁ!」となるところが非常に多かったので、共感して学びました。 <自閉症の社会史>という章もあり、ざっくりとアメリカ側の視点から、自閉症の認知のされ方についても、知ることができました。 (例えば、テンプル・グランディンさんなど。存じ上げなかったです。) 「アバターはみんな自閉症的だ」というパンチのある言葉が刺さりましたし、 ”仮想空間の臨場性と高揚感”が、「場の即興性・臨場性・共同性がある」という池上さんの指摘には、毎日SNSで体感していることなので、大いに納得しました。 全三章から成っていて、第三章が内容も濃くて興味深かったです。 過剰な負荷で、自身が「メルトダウン」することが、私もあります。 また、自閉症の脳内世界を「インテンス・ワールド」(強烈な世界)とした論調は、なるほど私自身も、状況によっては陥るところがあるなと、感じました。 「自閉症」を、別の障害に置き換えて読むのもまた沢山の収穫があると思います。
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