ちょっと気になる社会保障 知識補給増補版 の商品レビュー
社会保障(年金・医療)と民間保険や生活保護との比較、税:救貧から社会保険:防貧への流れや社会保険方式のメリットなど大変丁寧に説明されている。 特定の人を信じすぎるのは良くないが、こういう方が社会保障改革の中心にいて良かったと思えた。 社会保障、特に年金への世間の批判、著者曰く誤解...
社会保障(年金・医療)と民間保険や生活保護との比較、税:救貧から社会保険:防貧への流れや社会保険方式のメリットなど大変丁寧に説明されている。 特定の人を信じすぎるのは良くないが、こういう方が社会保障改革の中心にいて良かったと思えた。 社会保障、特に年金への世間の批判、著者曰く誤解や「憎悪」については、自分も例えば普通に考えて積立方式の方が公平なのでは?とか思っていたが、そう単純ではないようだ。 「問題は賦課方式で税金を投入することではなく、その税金を赤字国債で賄っていること」とはもっともだが、現時点ではそこがイコールになっていることが年金の一番の問題のように感じた。 世間で言われる問題がそもそも問題ではない(ことも多い)こと、改善すべき点は改善に向かっているがまだまだ前途多難なこと、大事なのは将来にわたり高齢者を貧困から守ることで、そのためには社会保障への正しい理解が不可欠であることなど、多くの人に知ってほしい内容だった。 が、誰にでも読みやすい本でもないのが悩ましいところ。
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財源(不足)論に踊らされないで社会保障の本質を見つめるには打ってつけの良書。ざっくばらんな語り口で鋭く切り込む著者の姿は痛快ですらある。
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- ネタバレ
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増補版ではないものを読んだ。 社会保障特に年金に興味も持ち読んだ。語り調で読みやすい。が、内容はこってり。最後の方は医療・介護の話。 年金は将来の退職世代に「将来の生産物に対する請求権」を事前に約束しておく公的な取り決め。生産物こそが重要(Output is central) 扶養の社会化(勤労期に高齢期を扶養が、家族から国民全体へ社会化)さらに子育て費用の社会化が期待 年金 積立方式でも賦課方式でも少子高齢化の影響は受ける。 生産物は積立られないため、どのような分配手段でも、現役世代が生み出した付加価値を、現役世代と高齢者が分け合う構造は変わらない。高齢者の取り分は増す。 生産性が変わらなければ、生産物の合計は少なくなる。パイの縮小 債券・株で蓄えた請求権も、現金化の際、金融市場で調整(現役世代からは資産に対する需要小)。高齢者向け、財・サービスに超過需要が発生すれば物価で調整(購買力の低下) 1万円は100万円分で1cm、1兆円で10km 年金は保険。「長生きリスク」のヘッジ 公的年金 世代間格差は当然に発生する。 老親の扶養費用 社会化・保険化の過程は世代をおって順次拡大。 不確実性がある現実社会で「引退直前前数年の賃金支払額にリンク」しながら「死亡時までの所得保障がある」制度 設計・運営は困難。不確実性による世代間不公平の発生もありうる。
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