産まなくても、産めなくても の商品レビュー
出産をテーマにした短編。男性にはタイムリミットはあまりないかも知れないけれど、女性にはタイムリミットがある。産む選択、産まない選択。特別養子縁組を受け入れる選択。どれも良いと思います。 どの短編も良かった。最後のファンタジー?だけは要らなかったと思う、、笑
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妊娠、出産にまつわる7人の女性のそれぞれの物語。とても興味深かったです。 産まない選択や、産みたいけど産めなかった女性、不妊治療。覚えがあることなので、女性たちの気持ちもわかるし。 衝撃的なのは、「卵巣は人間の臓器の中で一番劣化が早い」という事実。35歳を過ぎると妊娠の確率はぐっ...
妊娠、出産にまつわる7人の女性のそれぞれの物語。とても興味深かったです。 産まない選択や、産みたいけど産めなかった女性、不妊治療。覚えがあることなので、女性たちの気持ちもわかるし。 衝撃的なのは、「卵巣は人間の臓器の中で一番劣化が早い」という事実。35歳を過ぎると妊娠の確率はぐっと減るし、体外受精の成功率も年単位で転がり落ちるように下がる。私の34歳の出産はギリギリのところだったんだなと改めて思った。 この事実は女性たち自身にもあまり知られておらず、無自覚なまま機会を逃してしまう悔しさ。 でも思うのが、現代女性の社会的な成熟度と産むことを考えた生物的な成熟度にズレがあること。産むのに適しているのは今も昔も20代だけど、20代ってやっと社会に出て仕事ができるようになって大人としての自覚が芽生えつつある時期。子どもを持つなんて先のことと思ってしまう。家族が欲しいなって思うのは30過ぎって普通かも。でもそれから妊娠を考えるともう遅いなんて、そんな理不尽な。この問題にどう折り合いをつけていくかは難しい課題でひとりひとりに物語があるのはうなずける。 最後の話だけが、未来の話でSF的で違和感。この話を付け足さない方が良かったのに。おかげでざわざわした気持ちになって読後感が台無し。でも他のストーリーは考えさせられ、話としても良かったです。
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甘糟りり子さんの妊娠・出産にまつわる7編の短編集です。 どのお話にも引き込まれましたが、特に第5話の『エバーフレッシュ』で描かれている、卵子凍結をめぐる医療現場のあり方とそれに対峙する女性の葛藤、に気づかされることが多くありました。 文中の一節ですが 『…いよいよ妊娠へのタイムリミットが迫ってきた世代こそ、卵子凍結が現実味を帯びてくる。凍結される卵子も若いほうが妊娠の可能性は高いにも関わらず。社会の仕組みや世間の意識が変わっても、産む生き物としての期限は変えられない、むしろ社会や世間が変わっていけばいくほど、産む性が置き去りにされているように時子は感じた。』 卵子凍結の年齢的リミット、そのリミットを前に悩みを抱える女性、そもそもその悩みはどこからくるのか。 女性が何かを諦めながら生きているとすれば、それを救う手立てはあるのか。 色々なことを考えさせられる作品でした。
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図書館で借りたもの。 妊娠と出産にまつわる、女性にとって切実な話題を切り取った七つの物語。 妊娠・出産にはいろんなタイプがあって、さらにそこからいろんな選択ができる。 その選択に外野はとやかく言わないで!静かに見守ってほしい、と思う。 男性が主人公の話があったのも良かった。 「五つめの季節」 特別養子縁組の話で泣けた。 「マタニティ・コントロール」 2030年の日本、人工子宮で男性が出産! これは面白かった! もしそうなったら出産が大きく変わるね。
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不妊治療や卵子凍結、養子縁組を経験または選択した女性(男性)たち。 ハッピーエンドばかりではないし、納得できる決断ばかりでもない。 でも、正解のない選択をしていくことがリアルなんだと思う。 物語としてどうか、は置いといて、「親」や「家族」になるには、こんな選択肢・考え方がある、と...
不妊治療や卵子凍結、養子縁組を経験または選択した女性(男性)たち。 ハッピーエンドばかりではないし、納得できる決断ばかりでもない。 でも、正解のない選択をしていくことがリアルなんだと思う。 物語としてどうか、は置いといて、「親」や「家族」になるには、こんな選択肢・考え方がある、という事を知るきっかけになった。
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「第一話 掌から時はこぼれて」39歳の女性弁護士が、ふとしたきっかけで知った卵子凍結の情報に、心が大きく揺さぶられて……。 「第二話 折り返し地点」妊娠よりもオリンピック出場を優先してきた女性アスリート。 レース前、胸に去来したものは? 「第三話 ターコイズ」不妊治療中の女性たちが集うイベントで、子宮の劣化の話を聞いて愕然となり……。 「第四話 水のような、酒のような」バブル時代に独身生活を謳歌した男が、不妊治療のクリニックで思わぬ宣告を受け……。 「第五話 エバーフレッシュ」妊娠をめざすのか、仕事を優先するのか。女性の厳しい現実に対応する、新しい社内制度とは? 「第六話 五つめの季節」三度目の流産で子供をあきらめかけたとき、養子縁組のことを知り……。 「第七話 マタニティ・コントロール」近未来。 不妊治療や子育て支援に大きな予算が投じられ、妊娠は政府によって制御されようとしていた。 (アマゾンより引用) 二話目の話がちょっとえぐかった。
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産む、産まない、産めないを読書後、すぐに手にした。 まー、タイトルからしてそうだよね。 1つの短編なのに、2つの話がクロスしていると思ったら…そう言うことだったのか。 第7話マタニティ・コントロールは近未来のお話。こんな未来だったらちょっと嫌だな。
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出産は女性にとっての一大イベントだ。 しかしそれを選択しない人もいる。 それは自ら望んで、の場合もあるし、様々な事情から選べない人もいる。 私の母は言った。 「産んでも、産めなくても、悩みは尽きないもの」と。 本書では七人の出産しない女性を描いている。 第一話では、妊娠できない...
出産は女性にとっての一大イベントだ。 しかしそれを選択しない人もいる。 それは自ら望んで、の場合もあるし、様々な事情から選べない人もいる。 私の母は言った。 「産んでも、産めなくても、悩みは尽きないもの」と。 本書では七人の出産しない女性を描いている。 第一話では、妊娠できないことを理由に離婚しようとする女性から依頼を受けた、女性弁護士が主人公だ。 ファンタジーと現実の狭間で悩む女性の姿がそこにあった。 第三話では、それに加え、羨望という欲が加えられた話になっている。 お互い、「歳も歳だし子供なんて、もう」と言い合っていた仲なのに、片方だけが妊娠した。 おめでとうの気持ちと、それ以上になんであの人だけ、という拭えない思いが溢れ出る。 第五話では、出産した女性と、していない女性の間の葛藤が描かれる。 よくネットなどで揶揄する言葉として使われる、「脳内お花畑」な女性が登場する。 しかしその女性だって、全く悩まないはずがない。 浮き沈みのある自分でコントロールできないところに、難しい点がある。 そして、そんな「お花畑さん」に対して冷たく見える女性が敵とは限らない。 みんなにとって最良の方法を考えているだけで、ことさらに意地悪なわけではないかもしれない。 その二人の間に、見えない壁があるだけで、きちんと話して見たら、その壁は元からあったものではないと気付けるかもしれない。 悩みとは他人には見えないし、たやすく理解できるものではない。 今一番苦しいのは私、世界中で一番どん底にいるのはこの私、そう感じることもあるかもしれない。 現実には他人の人生を生きることなど不可能だ。 しかし、読書によって、誰かの苦しみを知ることができれば、立場を、悩みを、体験できるとしたら、他人に対してもっと慈悲深くなれるはずだ。 そして何より、自分自身をもっと慈しみ、愛してあげることができるはずだ。
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結婚も出産も、ぼんやりとそのうちにするものだと思っていた。今は目先の案件で忙しいけれど、自分にとってその時間がくれば、なんとなく誰かと出会って結ばれて、結ばれたらその流れで子供を産む、そんな流れがどこかにある、と。そのふわふわしたイメージを今、思い切り粉々にされた。 もしかした...
結婚も出産も、ぼんやりとそのうちにするものだと思っていた。今は目先の案件で忙しいけれど、自分にとってその時間がくれば、なんとなく誰かと出会って結ばれて、結ばれたらその流れで子供を産む、そんな流れがどこかにある、と。そのふわふわしたイメージを今、思い切り粉々にされた。 もしかしたら自分はこのまま一人なのだろうか。四十になっても五十になっても、老婆になって仕事ができなくなっても、たった一人で生きていくのだろうか。 想像ができなかった。一人きりの自分の生活が永遠に続くことが。
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男性として普段触れることのない事実に触れることが出来た。自分の考え方を変えられるのは読書の醍醐味だ。ただ物語としての感動や味わいがあったかと言われると疑問だ。
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