か「」く「」し「」ご「」と「 の商品レビュー
この人の作品を読むのは初めて。文体はとても読みやすい部類。ひとの「感情」、気分の浮き沈みや喜怒哀楽や恋愛対象なんかを記号という形で視覚的に知覚する特殊能力を持つ5人の高校生を主人公とするお話です。 設定は設定として割り切ってしまえば面白いお話です。だけどやっぱり感情が明確に知覚...
この人の作品を読むのは初めて。文体はとても読みやすい部類。ひとの「感情」、気分の浮き沈みや喜怒哀楽や恋愛対象なんかを記号という形で視覚的に知覚する特殊能力を持つ5人の高校生を主人公とするお話です。 設定は設定として割り切ってしまえば面白いお話です。だけどやっぱり感情が明確に知覚可能なメトリクスで表現される世界というのは変な感じです。つまり表情や身振り手振りの一次情報を解析・解釈して、感情を代弁する二次情報にして・・・というのがない。明確に定義付けされた情報がそこに所与のものとしてある。なんだかTVゲームっぽい。しかし人間という数十兆個の細胞からなる生体ステートマシンの持つ「状態」≒「感情」なんてものは畢竟観測不可能。いわんや記号による観測などとは、と。「否、そうであればこそ観測可能なものこそが事実そこにある『感情』なのだ」という立論はありうるとして、本書がテーマとしているのはそんな表面的な何かではないようです。 もちろん、人間は知覚した対象のカテゴライズを通じて秩序のないところに秩序を打ち立て、差異のないところに差異を作り出し、以て自らの知覚そのものの基盤とする生き物です(鶏と卵の関係)。記号として表現された作中人物たちの「感情」のリアリティはそのような意味で認められるべきなのでしょう。同じように本書中に登場する「友情」と「恋愛感情」の間の妙にさっぱりした線引きもそうですが。ま、こういう色々を考える切っ掛けをくれる作品はいい作品だと思います(と、乱暴にまとめ)。
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5人の高校生の少し不思議な日常が描かれている。 特にオチらしいオチがないため「君の膵臓」や「また同じ夢」ほど新鮮な読後感はなし。
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か く し ご と なるほど。そういう意味もあったんだね。 住野さんの中で一番ハマりました。
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面白いタイトルだなあと思いながら読み進めて…、なるほど! 本作も仕込みに嫌みがなく、素敵な作品でした。 自分自身はとうの昔に忘れてしまった複雑な高校生の心境を絶妙なバランスで表現されていて、改めてすごいと思った。
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しまった。ここのところ最後の1ページで、どんと感動的な展開みたいな本を読みすぎたせいで、全部読んでしまった。 最初から最後まで高校生の男子と女子がひたすらうじうじする話しをおっさんが読んでいる場合ではなかった。 住野よるさんこれまで面白かったから、この本も何かあるかなと思った...
しまった。ここのところ最後の1ページで、どんと感動的な展開みたいな本を読みすぎたせいで、全部読んでしまった。 最初から最後まで高校生の男子と女子がひたすらうじうじする話しをおっさんが読んでいる場合ではなかった。 住野よるさんこれまで面白かったから、この本も何かあるかなと思ったけど、多分本当に若い人が読んだら何か感じるかもしれないけど、心が汚れたおじさんには1ミリも響かない。 いつもは面白くないと途中で読むのを辞めるので☆1つ何てないけど、この本は奇跡的に☆1つ。悲しい。
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表紙も含め、序盤から少女小説のようで驚きました。前の三作を読んでいるだけに、どこに向かっているんだろうと。不思議な能力を隠し持っている仲間たちが、その能力を活かさず殺さず当たり前の青春の悩みに立ち向かっています。純粋な彼らを微笑ましく感じる半面、小説としては魅力を感じませんでした...
表紙も含め、序盤から少女小説のようで驚きました。前の三作を読んでいるだけに、どこに向かっているんだろうと。不思議な能力を隠し持っている仲間たちが、その能力を活かさず殺さず当たり前の青春の悩みに立ち向かっています。純粋な彼らを微笑ましく感じる半面、小説としては魅力を感じませんでした。もっと凄いのを期待してしまった。住野よるさんという若い作家が今後どういう作品を書くのか、不安も覚えつつ追っていきたいです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
京、 ミッキー/ パラ1 ヅカ♠ エル↓ 高校の同級生5人がそれぞれに抱える特殊能力を隠しつつ、踏まえながら仲間と関わる青春ストーリー。 なまじ分かってしまう能力のせいで勝手に思い込んで、悩んだり、落ち込んだり、心配したり、逃げたり、おせっかいを焼いたり、勘違いしながらもそれぞれのストーリーはそれぞれの世界観に収まっている。 5人のそれぞれの視点、キャラ、思考、行動が、だんだんと舞台裏を見せられていくよう。それぞれが各仕事を引き受けて、それぞれの世界を交わらせながら支えあっていて、そこにいいヤツしかいないのが気持ちいい。 きっと特殊能力なんか持ち合わせていない自分たちも、それぞれの感受性で勝手な現実認識をしながら、世界を構成しているんだよね。もちろん全部わかりあう必要もなく、でも、素直に確かめてみていいことも沢山あるんだろうね。 17-62
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「君の膵臓をたべたい」 「また、同じ夢を見ていた」 …が良かったので、 こちらも手に取ってみました。 それぞれが少し特別な能力を持った高校生5人の物語。 章ごとに視点が変わる構成。 青春時代特有の悩みとかはリアルで良かったです。 けど結局何なのかちょっと分かりにくくて、たぶん...
「君の膵臓をたべたい」 「また、同じ夢を見ていた」 …が良かったので、 こちらも手に取ってみました。 それぞれが少し特別な能力を持った高校生5人の物語。 章ごとに視点が変わる構成。 青春時代特有の悩みとかはリアルで良かったです。 けど結局何なのかちょっと分かりにくくて、たぶんもう一回読むと理解出来るんだろうなぁと思いました。 背表紙のQRコードから特設サイトに飛べて、この物語にまつわるミニクイズに正解するとその後のショートストーリーが読めます♪
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過去の三作は全て読み、面白かったので今回も手に取ったのですが、イマイチでした。というかついていけなかった。わたしがとっくに高校を卒業したアラサー女だからかもしれませんが苦笑 タイトルからなんか合わなそうだなと思っていたのもあるけど、中身もタイトル通りのテンションです。軽すぎる。や...
過去の三作は全て読み、面白かったので今回も手に取ったのですが、イマイチでした。というかついていけなかった。わたしがとっくに高校を卒業したアラサー女だからかもしれませんが苦笑 タイトルからなんか合わなそうだなと思っていたのもあるけど、中身もタイトル通りのテンションです。軽すぎる。や、軽すぎるのにいいことを言おうとしてる箇所も多いから立ち位置がすごく中途半端で読みづらい。 京、ミッキー、パラ、ヅカ、エルの5人の高校生のちょっと特殊な能力(というかそれぞれの気持ちの読み取り方的な能力)を持った子たちの話。プロローグから始まりますがこれが全て会話。わたしは実は大魔王なんだよ! え? そうなの?? 的な、ぶっ飛んだ会話。 そして各々の視点で始まるのだが、ミッキーとパラのテンションにまずついてけず、辟易します。京くん視点の話から始まるのにミッキーの強烈なわけわからない感じが不快で仕方ない。シャンプーの伏線、そこ!? ってツッコミ入れるのもためらわれるほど無理やり。 そしてにミッキー視点にうつりうんざりしたところに頭パッパラパーでノーブラ通学のパラが視点になっちゃうからもうダメ。諦めようかと思ったところにまともそうなヅカ、そして繊細なエルがきっちりと締めてくれたのでなんとか読めました。 エルの章が一番文学っぽかった。デビュー作は響くものがあったし面白かった、次の作品も意欲的でかなり筆力も上がっていたのに、今回はそのどれよりもずっとひどい出来でがっかりした。
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『君の膵臓を食べたい』で話題となった、住野よるさんの待望の新作。個人的な待望ではないと思う。 高校生5人組が、それぞれ違った「能力」を持っていることを隠しながら、お互いに惹かれ、憧れ、尊敬し、親友として絆を作り上げていく。 物語は、誰もが高校生のときに感じてきたような日常的な...
『君の膵臓を食べたい』で話題となった、住野よるさんの待望の新作。個人的な待望ではないと思う。 高校生5人組が、それぞれ違った「能力」を持っていることを隠しながら、お互いに惹かれ、憧れ、尊敬し、親友として絆を作り上げていく。 物語は、誰もが高校生のときに感じてきたような日常的な友人関係や恋愛が主。 ヒーローになることを夢見る、心に嘘がなく、明るくまっすぐなミッキー。 彼女は、人の心の浮き沈みが、まるでシーソーのような形でその人の胸の辺りに見えるという「能力」があり、なんとかプラスにもっていってあげようと、ズカズカとおせっかいをやいてでも心を無理矢理開かせる。その想いがまっすぐなだけに、だれからも憧れられる存在。 パラは、パッパラパーのパラというあだ名をつけられるほど、予測不能で常にふざけているように見える。彼女は、人の心音のリズムが聞こえるという「能力」があり、その人の感情が高ぶっているのか落ち着いているのかがわかる。また、パッパラパーに振る舞う影で、計算高い本性も。 ヅカは、体育会系で背が高く、いつも笑顔の「王子様」で、背の低かった中学校のころは、色白の美男子なので、宝塚歌劇団に入れるのではという理由から「ヅカ」というあだ名を得る。彼は、人の頭の上にトランプのマークであるハートやスペード等が色つきで見える「能力」があり、その人の感情を読み取ることができる。ミッキーと幼馴染み。 京くんは、地味な自分に引け目を感じているが、音楽の趣味が同じヅカと仲がよく、そういう関係かと噂されるほど。引け目を感じるあまり、高嶺の華には告白できず、見守ることしかできない。彼は、人の頭の上に、句読点やビックリマーク、はてなマークが見える「能力」があって、頭の中で考えていることがマークを通してわかってしまう。 エルは、すごく内気で控えめな女子で、ある日、いろんな勘違いから不登校になってしまう。しかし、ミッキーの強引なおせっかいによって、登校できるようになり、みんなとつるむことに。エルの「能力」は、人の恋愛事情が矢印となって見えること。友人の恋愛を応援してあげたいけど、控えめなので、なかなか口に出せない。 そんな5人の間で巻き起こる、他愛もない日常にほんわかした気持ちになった。 自分が当たり前と思っている「能力」は、ほんとにどの人にも備わっているものなのか?当たり前すぎて確かめてもないようなことが、実は自分だけに備え付けられた「能力」なのかもしれない。 そして、人はその人の何%くらいを知って、自分と合うと判断し、友人や恋人となるのだろう。 もちろん、心の中を見ることはできないので、自分が知ってる顔や性格はほんの一面にしかすぎず、長く付き合うにしたがって、知ることができる面は大きくなる。知ったほうがいいこと、知らなかったほうがよかったこと、いろんなことがある人間関係は楽しくもあり、悩みの種でもあるんだろう。
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