眠る魚 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
東日本大震災後の物語。日本社会から飛び出し、バヌアツに暮らす女性が主人公。父親が亡くなり関東の田園地帯にある実家に一時帰国し、海外のニュースサイトで報じられてきた放射能汚染の深刻さとは裏腹に、たいしたことないと言い張る人々に茫然(ぼうぜん)とする。不安を口にし、行動を起こせば村八分にされる。錯綜(さくそう)する情報の中、安全と危険の両軸のどちらにもつけずに茫漠(ぼうばく)とした不信と不安を抱え、突き付けられる。私たちは何をなくしたのか。 亡父が生前に付き合っていた女性を相続人に指名していたことが判明し、主人公は実家と土地の相続権を失う。そこではじめて、故郷の土地に依拠していた自分を見出(みいだ)す。個人性を押し殺す日本の感覚を嫌悪し、故郷を守る親兄弟を敬遠してきたにもかかわらず。しかもその最後の砦(とりで)のはずの土地は放射能で汚染されてしまった。葛藤の末、今後の身の振り方を心に定めたところで、舌癌が見つかってしまう。 あくまでもフィクションであり、日本の現実とぴたり重なるわけではないし、バヌアツに住み故郷に特別な愛情を抱き続けてきた著者の実体験そっくりそのままでもない。 けれども主人公の葛藤の一言一言が、著者の心の叫びのようにも、私自身が抱く屈託を抉(えぐ)るようにも聞こえ、時々読むのが苦しくなった。 現実の話をすれば、余命宣告を受け、著者は東京での治療を切り上げ、自力では歩けない状態を押して帰郷する。 書き手を失った物語の続きは、私たち読み手の今後の生き様に引き継がれる。2020/06/20 13:42
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原発の恐ろしさを改めて感じた。 いますぐに影響がでない。数年後、数十年後に癌になるから果たして放射能の影響かどうかもわからない。そんな中で日常は進んでいくのでまた気にならなくなるんだと思う。 もう少し原発事故について調べたいと思いました。
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坂東眞砂子 著「眠る魚」、2017.2発行(文庫)。著者、未完の絶筆小説です。バヌアツに住む伊都部彩実は父の死で帰国。福島の原発事故による放射能汚染での急死はアオイロコという病によるものか・・・。後半、彩実の舌の腫瘍が悪性の舌癌とわかり入院に。このあたりから著者自身に重なってき...
坂東眞砂子 著「眠る魚」、2017.2発行(文庫)。著者、未完の絶筆小説です。バヌアツに住む伊都部彩実は父の死で帰国。福島の原発事故による放射能汚染での急死はアオイロコという病によるものか・・・。後半、彩実の舌の腫瘍が悪性の舌癌とわかり入院に。このあたりから著者自身に重なってきます。本作品は手術前の段階で絶筆となっています。著者は、実際は東京の病院に入院中の所、故郷に帰りたいとの希望が受け入れられ、高知の病院に転院し、亡くなられました。 坂東眞砂子さん、2014.1.27、故郷の高知でお亡くなりになりました。「眠る魚」(2014.5)は、未完の絶筆長編です。巻末に著者の著作が整理されています。作品を眼で追いながら、感動を思い起こしました。「山はは」「わたし」「善魂宿」「天唄歌い」「くちぬい」・・・。大作ですね!
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未完なのでこの後どうなるのか気になります。イルミナティのくだりとか必要だったんでしょうかね。気になりますね。
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