1,800円以上の注文で送料無料

劇場型ポピュリズムの誕生 の商品レビュー

3

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2018/05/27

本書は、これまでのポピュリズム論を参照しつつ、「劇場型政治」を取り入れたポピュリズムを「劇場型ポピュリズム」と定義し、「劇場型ポピュリズム」を体現する「劇場型首長」台頭の背景を明らかにした上で、主な劇場型首長(田中康夫長野県知事、東国原英夫宮崎県知事、橋下徹大阪府知事)の政治を考...

本書は、これまでのポピュリズム論を参照しつつ、「劇場型政治」を取り入れたポピュリズムを「劇場型ポピュリズム」と定義し、「劇場型ポピュリズム」を体現する「劇場型首長」台頭の背景を明らかにした上で、主な劇場型首長(田中康夫長野県知事、東国原英夫宮崎県知事、橋下徹大阪府知事)の政治を考察し、さらに、特に近年最も注目を集めた大阪市長としての橋下徹氏に焦点を当てている。また、補論として、「劇場型ポピュリズム」に該当すると考えられるドナルド・トランプ米国大統領についての分析も行っている。 これまでの著者の著作と同様、「劇場型首長」の動向、特に橋下徹前大阪市長の市政運営や論壇での賛否両論の評価について、とてもよくまとまっていて、近年の地方自治を考える上で、参考になった。 ただ、政治学の研究としては、日本語文献をもとに、事例研究をベースとして、概念整理をしたというもので、計量的な分析や海外の文献の参照はなく、少し物足りないものを感じた。「ポピュリズム」や「劇場型政治」の概念整理についても、ちゃんと整理しきれているのか、そのような新しい概念を持ち出すことの政治学的意義等について、十分に得心がいったとはいえなかった。

Posted byブクログ