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今こそ知りたい!がん治療薬オプジーボ の商品レビュー

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2017/10/28
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オプジーボの薬理は、ノーベル賞候補とも言われる京大の本庶佑により発見されたPD1受容体の作用が基礎となっている。 がん細胞はPD-L1というリガンドを発現しており、キラーT細胞表面のPD1受容体がこれを認識するとその働きにブレーキがかかる。PD-L1は、いわば免罪符のような役割を果たす。オプジーボはPD1受容体をブロックすることでPD-L1を阻害する。 その他の免疫チェックポイント阻害剤としては、キートルーダも抗PD-1抗体。ヤーボイはCTLA-4というキラーT細胞上の免疫チェックポイント分子に結合する。ただし、ヤーボイの効果はオプジーボよりも弱いと言われている。 オプジーボは夢の抗がん薬と言われているが、本書によると非小細胞肺がんのステージ3・4の全生存期間中央値はタキソテールの6.0ヶ月に対し、9.2ヶ月。その他の臨床成績もこの程度で、全く効果のない人も結構多いようだ。いわゆる「統計的に有意な効果」はあるのだろうし、特に新しい作用機序の抗がん薬としての価値はあるのだろうけれど、一般人の感覚として「夢の薬」というか、万能薬というものではないようだ。 ただ、丸山ワクチン以来、ガンの免疫療法といえば免疫力を上げることに主眼が置かれていたが、オプジーオはガン細胞の働きにブレーキをかけるという点で画期的な薬ではある。 現在はその薬価の高さが問題になっているが、著者の見解としては一度キラーT細胞がガン細胞を認識すれば、たとえ再発した場合でも免疫が働くはずだという実際、メラノーマでは10年以上生存しているケースもある。ただし、実際問題としてはやめ時が難しく、使用が長期間に渡る場合がほとんど。

Posted byブクログ