ビニール傘 の商品レビュー
貧しさと若さと共存と孤独と。 雨空の、ねずみいろの、大阪の寂れた風景。 そんな世界をイメージしながら。 感覚で大阪を味わった気分だ。 ストーリーはともかく、 余韻は残るな。
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使い捨てること代替えすることが可能なビニール傘。みたいに街に散らばっているわたしたちとあなたたちの物語。と思ったしおもしろかったのだが、それ以上を突き抜ける何かを感じとることは僕にはできなかった。
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社会学者が書いた小説っていうのが気になった。 自分の気分の浮き沈みが激しい時に読んだ。 ずっと悲しさ切なさが付き纏ってる。 小さなものが積もり積もってふとしたきっかけで一瞬で終わりになるのがリアルに描かれてた。
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この現実感のないリアルさは何なのだろう。ここではないどこかだとか、細部だけ具体的な夢の様な。どこにでもある、ありふれた世界。私が見ているものは本当にあるのだろうか?
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ついに岸先生の小説にまで手を出しました。Podcast→「にがにが日記」→「ビニール傘」。 なんかずっと曇りで雨がしとしと降っていて、それを古いアパートから眺めている感じの小説だった。風景の湿度が高いというのか淀川が出てきたからそう思うのかもしれない。川の流れの音が聞こえているみ...
ついに岸先生の小説にまで手を出しました。Podcast→「にがにが日記」→「ビニール傘」。 なんかずっと曇りで雨がしとしと降っていて、それを古いアパートから眺めている感じの小説だった。風景の湿度が高いというのか淀川が出てきたからそう思うのかもしれない。川の流れの音が聞こえているみたいだった 岸先生、大学のお仕事を始めるまで日雇いのお仕事をしていらっしゃったそうなのでそういう生活圏で生活史ている人たちの描き方がすごいリアリティがあって、その閉塞感に読んでて胸が苦しくなる 二作目の「背中の月」は生活の苦しさというよりも当たり前にいてくれた者(物)がいなくなってしまうことと、いつまで経ってもそれが自分に馴染まないことへの息苦しさや自分の内側に閉じこもってしまう感じがヒリヒリするぐらい痛切だった。でも1作目も2作目も閉塞感のなかに安全ピンの先端でちょっと穴を開けたような、かすかな風通しのよさもあって、読了後の余韻がよかった
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単行本にしては(物理的に)妙に軽い気がして、語り手の空虚さ心許なさがうつっているように思えてくる。余白の多い装丁も。
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孤独と絶望のすぐ近くで暮らしている人たちの、でも実は自分もすぐ近くにいると感じさせる、独特なようで当たり前の、実は見慣れた毎日の風景。 この人の文章は、どうしてこんなに燻んでいて、希望が見出せないのに、引きつけられるんだろう。
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大阪というと賑やかで華やかで雑多なイメージですけど、これは、その裏にある陰の大阪だと思いました それなりに生きられているのに、頼りない、流されている感じが頭から消えない、 一見すると出口のないような閉塞感が漂っているようですが、市井の人たちが、誰かや誰かと過ごした思い出と寄り添い...
大阪というと賑やかで華やかで雑多なイメージですけど、これは、その裏にある陰の大阪だと思いました それなりに生きられているのに、頼りない、流されている感じが頭から消えない、 一見すると出口のないような閉塞感が漂っているようですが、市井の人たちが、誰かや誰かと過ごした思い出と寄り添いながら、静かに暮らしている、両編ともじんわりと体温を感じるような話でした 視点が変わってちょっとわからなくなるようなところもあったけど、それも誰それの物語と区切らない、全部誰かの物語の続きというふうに捉えてみました
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日々すれ違う他人には、自分と同じように人生のストーリーがあるんだということを忘れてしまうと、 他人に対して乾いた対応をしてしまうことがある。 他人の人生を覗き見る感覚で読み始めたが、 なぜか古き良き温もりと、人と重なる温度の幸福感が沸々と蘇えり、ああ、コロナやらなんやらで、 と...
日々すれ違う他人には、自分と同じように人生のストーリーがあるんだということを忘れてしまうと、 他人に対して乾いた対応をしてしまうことがある。 他人の人生を覗き見る感覚で読み始めたが、 なぜか古き良き温もりと、人と重なる温度の幸福感が沸々と蘇えり、ああ、コロナやらなんやらで、 とても大切なものをなくしてるんじゃないかと怖くなりました。 読み終わった後、なんともいえない味わいを 噛み締める時間が暫く必要でした。 何回も読み返したい本です。
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描写が細かくて人の人生を覗き見しちゃった感。 ちょー良い。途中まですっごい共感してたのに最後ちょっとよく分かんなくて掴めない感じ。 良い。 あと写真がなんかエモくて良い
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