複雑系を哲学する の商品レビュー
『複雑系の哲学―21世紀の科学への哲学入門』(2007年、麗澤大学出版会)と『続・複雑系の哲学―21世紀の科学への哲学入門』(2009年、麗澤大学出版会)のほか、3編の論考を収録しています。 著者は、複雑系にかんする科学的研究を手がかりにしつつ、主客二元論の構図に依拠した従来の...
『複雑系の哲学―21世紀の科学への哲学入門』(2007年、麗澤大学出版会)と『続・複雑系の哲学―21世紀の科学への哲学入門』(2009年、麗澤大学出版会)のほか、3編の論考を収録しています。 著者は、複雑系にかんする科学的研究を手がかりにしつつ、主客二元論の構図に依拠した従来の哲学を超える存在論および認識論の構想しています。とくに、「生成」および「創発」の発想を、ライプニッツやベルクソン、ホワイトヘッド、メルロ=ポンティ、西田幾多郎といった哲学者たちの思索に接続することで、自然科学における新たな動向の背後にあると考えられる哲学的な世界観を解明しようとする試みがなされています。 ただ個人的には、「複雑系の哲学」というタイトルから予想されるような、ある程度自然科学の成果にそくした議論が展開されているわけではなく、ニューエイジ思想に類似した生命論的哲学がいささかナイーヴなしかたで語られているように感じられます。
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