大塚欽一全詩集(前期) の商品レビュー
実際に読んだのは句集「一管の笛」だが、検索登録がてきないため、こちらを借りた。小児科医である著者の実感がこもった第2章が特に印象的。「握る手にかすかな力花曇」「夕顔やまだぬくみある空きベッド」「ふと見せし大人の顔や夕立雲」「日記蝶は白紙ばかり夏帽子」「凍蝶や哲学者の眼して君逝けり...
実際に読んだのは句集「一管の笛」だが、検索登録がてきないため、こちらを借りた。小児科医である著者の実感がこもった第2章が特に印象的。「握る手にかすかな力花曇」「夕顔やまだぬくみある空きベッド」「ふと見せし大人の顔や夕立雲」「日記蝶は白紙ばかり夏帽子」「凍蝶や哲学者の眼して君逝けり」「赤き靴揃へて置かる冬ベッド」それぞれの子の姿や送ってきた時間、彼らを送らざるを得なかった作者の断腸の思いが伝わってくる。ことに重度病児を詠んだ句は腸から絞り出すような苦悩に満ちている。「君見たか産着の下の冬嵐」それ以外は観念的な句が多い印象だが、表題にもなった「人間は一管の笛ちちろ鳴く」など見事。
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