サザビーズで朝食を の商品レビュー
一度ナチの所有となった美術品の価値はなぜ低くなるのか…必ずしも道徳律に支配されているわけではなく、強奪品だった場合に返還訴訟を起こされるおそれがあるかららしい。まぁ戦後のゴタゴタで日本の美術館からアメリカに渡った品もあると匂わされているので、戦争に勝てばそうした懸念も無くなるのか...
一度ナチの所有となった美術品の価値はなぜ低くなるのか…必ずしも道徳律に支配されているわけではなく、強奪品だった場合に返還訴訟を起こされるおそれがあるかららしい。まぁ戦後のゴタゴタで日本の美術館からアメリカに渡った品もあると匂わされているので、戦争に勝てばそうした懸念も無くなるのかもしれないが。 後半、美術品の経済的価値を決める様々な要素の解説が興味深い。オークショニア達がブームを煽ることはできても、ブームに火を付けることはできないとの慎ましい弁明が印象に残る。本当かどうかはさておき…
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ならず者たちのギャラリーの著者の前作。 クリスティーズとサザビーズに勤め、美術鑑定のTV番組に長年出演した著者による、美術品取引業界の「悪魔の辞典」。
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美術商やオークションの仕組みを理解したく手に取った本。どうも…お金のにおいがちらつく、やはり投機としての文脈で語られる絵画作品。なんだかモヤモヤしてしまう…
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アートの世界の奥深さとしょうもなさと。前半の画家と様式、モチーフに関するあれこれは退屈に思う人もいるかもしれない(そして興味ある人には若干浅く感じるかもしれない)が、3章からのアート作品の流通やプライシングに関する話は、ビジネスモデルの解説としてこの上なくセクシー。アート市場はプ...
アートの世界の奥深さとしょうもなさと。前半の画家と様式、モチーフに関するあれこれは退屈に思う人もいるかもしれない(そして興味ある人には若干浅く感じるかもしれない)が、3章からのアート作品の流通やプライシングに関する話は、ビジネスモデルの解説としてこの上なくセクシー。アート市場はプリミティブな株式市場のようであり、アカデミアと商業の汽水湖であり、壮大な共同幻想であり、今日もその歴史を紡いでいる。
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これまでよく知らなかった美術の世界が、著者のウィットに富んだユーモアと共に繰り広げられる。あまりアートに詳しくなかった私は、新たに画家の名前が出て来るたびにインターネットで絵画を検索し、知見を広めると共に本を深く理解することができた。 絵画のビジネスはとても人間臭いと感じる。ま...
これまでよく知らなかった美術の世界が、著者のウィットに富んだユーモアと共に繰り広げられる。あまりアートに詳しくなかった私は、新たに画家の名前が出て来るたびにインターネットで絵画を検索し、知見を広めると共に本を深く理解することができた。 絵画のビジネスはとても人間臭いと感じる。また、他の業界での人々の思惑とあまりに遠いわけでもない。例えば、金融といった、もっとも対極にあるような業界と比較して、対象にまつわるエピソードや希少性を語ることによって価値そのものが上がるという点は同じだ。 これを機に、アートがより身近になり、好きな作品の一つでも買ってみようという気になった。
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著者のフィリップ・フックはサザビーズの取締役を務めており、アート業界で40年のキャリアを持つという人物だ(サザビーズのウェブサイトには彼の略歴が載っている)。これまでにも何冊か美術にまつわる本を書いていて、何冊かは邦訳も出ている(同じ訳者による『印象派はこうして世界を征服した』(...
著者のフィリップ・フックはサザビーズの取締役を務めており、アート業界で40年のキャリアを持つという人物だ(サザビーズのウェブサイトには彼の略歴が載っている)。これまでにも何冊か美術にまつわる本を書いていて、何冊かは邦訳も出ている(同じ訳者による『印象派はこうして世界を征服した』(白水社)や、意外なところでは『灰の中の名画』という推理小説もある)。 本書でフックが論じているトピックはとても幅広い。ただし、本書に一貫して流れているテーマというものはある。「何が絵画の価格を高めるのか?」という疑問に対する答え――著者の40年にわたるアート業界での経験に裏打ちされた答えが、本書の大きな柱だ。邦訳に付けられた副題「競売人が明かす美とお金の物語」は、この本の内容をとてもよく表している(原書には「アートの世界の一から十まで」という副題が付いている)。 本書はボリュームがある本て、手に取るとずっしりと重さを感じる。でも、気軽にどんどん読み進められるのはフックの語り口の軽妙さのおかげだろう。5章の「用語集」はフックによるアート版「悪魔の辞典」で、読んでいて思わず笑ってしまう。絵画(やお金)にまつわるウンチクのような話も多く、本を読み終えた後にはきっと、誰かに内容を話したくなるに違いない。「絵を見る時には描かれた人物の口もとに注意するといいよ。口もとに笑みがあるかどうかで値段が何倍も変わってくるからね」。 個人的にオークションの関心があるため、オークション会社が採用していた(今もしている?)という「(売値)保証」「取消不能の入札」の2つの仕組みが興味深かった。
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作者のフィリップ・フックはイギリスの最大オークション、ザザビーズのディレクターをしている。過去には同じく最大手のクリスティーズで働き、自身で画廊を持っていた経歴もある。アートと経済に関わり続けた人だ。 そんな彼が、A-Z、辞書のようにアートにまつわる単語を挙げ、時にエッセイ的に書...
作者のフィリップ・フックはイギリスの最大オークション、ザザビーズのディレクターをしている。過去には同じく最大手のクリスティーズで働き、自身で画廊を持っていた経歴もある。アートと経済に関わり続けた人だ。 そんな彼が、A-Z、辞書のようにアートにまつわる単語を挙げ、時にエッセイ的に書いた本がこれだ。 さすが英国人というべきか、ひねりのきいた口調は読んでいて面白い。また、オークションで扱われる作品は、美術史的な価値とは違う価値で取引されているため、まさかこんなジャンルがあるとは‥(枢機卿をモチーフにしたジャンルとか)と驚かされる。華やかな世界の舞台裏には、カタログ作成や、評価、修復、経歴の調査など様々な過程があり、それらは売買に大きく影響するゆえに刺激的だ。 日本では特に経済と芸術に線引をしたがる。美的なもの、精神的なものに金銭を関わらせるなんて汚い、という感覚はそろそろ潰えて欲しいものである。 オークションで取り扱われる何十億という金額が全てというわけではないが、お金が動くところには必ず理由があるわけで、それを愉快な調子で書いた本作は、芸術をいつもよりちょっと違う視点で見せてくれるものだと思う。
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話はあっちこっちに飛びますが、世界規模のオークションハウスの競売人という特殊な職業にいる著者が、アートを文化資源として、金融資産として語りまくる本です。売れる絵にまつわるみんながストーリーもざっくり解説しています。
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