サロメ の商品レビュー
本書を読むに先立って、平野啓一郎さん訳(講談社古典新訳版)のサロメを読みました。同書で、平野さんは、「モローだとか、ビアズリーだとかによって、ワイルドの≪サロメ≫は、随分と塗りつぶされてしまっている。」(「訳者あとがき」128頁)と指摘します。ワイルド自身の意図を超え、三島由紀夫...
本書を読むに先立って、平野啓一郎さん訳(講談社古典新訳版)のサロメを読みました。同書で、平野さんは、「モローだとか、ビアズリーだとかによって、ワイルドの≪サロメ≫は、随分と塗りつぶされてしまっている。」(「訳者あとがき」128頁)と指摘します。ワイルド自身の意図を超え、三島由紀夫をして「ビアズレイを選ぶことと、≪サロメ≫を選ぶこととの間に、そもそもどれだけの径庭があろうか。」とまで言わせてしまう、ビアズリーの挿絵の魔力は凄まじいですね。 「<サロメ>は誰によって書かれたと思いますか?」(本書19頁)という冒頭の問いは、まさしくここに繋がっていきます。 この出発点から、架空の未発表資料を登場させて、ちゃんと原田さんの小説世界は出来上がっていく。本書の主人公は、ビアズリーでもワイルドでもなく、メイベル=サロメなのだから。
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刺激的で、ドキドキし、焦り、不安で、物語の中で溺れるような そんな感じでずっと読んでいた ネットで見たオーブリー・ピアズリーの絵は不思議で その不思議さがこの小説を支配しているような気持ち すごい時間を過ごしたけれど、疲れた
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これはすごい。ワイルドとピアズリーの関係をサロメに擬えた傑作。 真実は知らない。でもこうだったらいい。 原田さんの作品を読むたびにそう思ってしまう。 オーブリーの最期も、オスカーの最期も、これでよかったのではと思わせてしまう。 愛と憎しみは表裏一体で元を辿れば同じものに辿り着く。...
これはすごい。ワイルドとピアズリーの関係をサロメに擬えた傑作。 真実は知らない。でもこうだったらいい。 原田さんの作品を読むたびにそう思ってしまう。 オーブリーの最期も、オスカーの最期も、これでよかったのではと思わせてしまう。 愛と憎しみは表裏一体で元を辿れば同じものに辿り着く。 誰もが誰かを全力で愛して憎んで、その首をと願う。 サロメのごとく狂気に満ちた物語。タイミングを間違えて読んでしまったら此方側に戻れなくなりそうな気がする。
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2017年早々凄い本が出た… 何この愛憎劇は… オスカー、ビアズリーを中心に皆んなの2人へ対する愛と言うより所有欲が凄まじくて地獄のような展開に。 世紀末のロンドンで、2人が天才同士、男同士にも関わらず深い関係だからこそ起きた歴史の一幕。 史実はどうか分からないけど、もしこれが本...
2017年早々凄い本が出た… 何この愛憎劇は… オスカー、ビアズリーを中心に皆んなの2人へ対する愛と言うより所有欲が凄まじくて地獄のような展開に。 世紀末のロンドンで、2人が天才同士、男同士にも関わらず深い関係だからこそ起きた歴史の一幕。 史実はどうか分からないけど、もしこれが本当の話だったら凄い事件だなと思った。 人間誰しもサロメになり得る… 泥沼っぷりが最高でした。
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【退廃の世紀末。二人の天才を、“運命の女”が悲劇へといざなう】十九世紀末のロンドン。美貌とスキャンダルで時代の寵児となった作家オスカー・ワイルドと、天才画家ビアズリーの愛憎を描く。
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