共産主義黒書〈アジア篇〉 の商品レビュー
下巻ではアジア共産主義政権による大虐殺を取り上げる。上巻のソビエト編や「ワイルドスワン」にあるように、あれよという間に権力が共産党とその指導者に奪取、集中され虐殺が始まる。 上巻と同じく、虐殺の規模の分析に重きを置いているため「なぜか」「どうしてか」の観点がどうしても薄くな...
下巻ではアジア共産主義政権による大虐殺を取り上げる。上巻のソビエト編や「ワイルドスワン」にあるように、あれよという間に権力が共産党とその指導者に奪取、集中され虐殺が始まる。 上巻と同じく、虐殺の規模の分析に重きを置いているため「なぜか」「どうしてか」の観点がどうしても薄くなっている。結びに変えてまさに「なぜだったのか」という章を補足しているが、いまだ議論があいまいなままで道筋が見えない。 以下は個人的な意見として据えさせてもらう。 虐殺を行った指導者たちの理念やイデオロギーは勉強不足な自分には判然としない。しかし、虐殺へ至った動機は常に「権力の維持」にあるように見える。ナチスの全体主義との違いは単に差別の物差しが宗教(または人種としてのユダヤ)か階級(ブルジョワジーや富農)でしかなく、主観的で判然としない、つまり都合の良いレッテルで外部・少数の敵を作る手法に変わりはない。そののち「敵に襲われ危機的状況である」と(国民だけでなく独自の階級ごとの)ナショナリズムをてこに権力維持のための非道な闘争を正当化していくのである。 実行力の側面としては、軍部・警察の支配から食料の掌握をすることで全国民を支配下に置いていく。 この観点で見たとき少数の左派が声高く非難する現在の日本の政治の中で、その論法から本当は何を中止しなければならないかがわかる気がする。
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表紙がかっこよかったので購入した。 ジャーナリスティックな興味も、学問的な関心も、どちらもほどほどに満たしてくれる良書。解説が優れているので、付け加えていうことは何もない。
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毛沢東も金日成もポル・ポトもどうしようもなく狂っています。あの時代のその国に生まれなくて本当に良かった。日本に生まれて心よりありがたく思うほど、言語を絶する悲惨さです。今や共産主義国家や全体主義国家が勢いを増しつつあります。 北朝鮮への対応を誤ると、本当に核戦争に突入するかもしれません。対話での解決を祈ります。
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『ソ連篇』に続く『アジア篇』では、中国、北朝鮮、ベトナム、ラオス、カンボジアを取り上げる。 中国や北朝鮮の、ある程度信頼出来る資料は現在でもかなり少ないと思われるのだが、原書刊行当時は更に少なかったのでは……。 巻末の解説によると、『コミンテルン篇』だけは邦訳の予定があるらしい。...
『ソ連篇』に続く『アジア篇』では、中国、北朝鮮、ベトナム、ラオス、カンボジアを取り上げる。 中国や北朝鮮の、ある程度信頼出来る資料は現在でもかなり少ないと思われるのだが、原書刊行当時は更に少なかったのでは……。 巻末の解説によると、『コミンテルン篇』だけは邦訳の予定があるらしい。いつになるのか解らないが、気長に待とう。
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