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トランプは世界をどう変えるか? の商品レビュー

3.6

18件のお客様レビュー

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2023/04/28

本書は2016年末に出版された本で、大きくは3部構成になっています。第1部がエマニュエル・トッド氏へのインタビュー記事。第2部はトランプの共和党候補指名受諾演説、第3部は佐藤優氏による論考です。出版から3ヶ月以上経ち、トランプ政権の動向が少しずつわかってきている中で本書を読んだ感...

本書は2016年末に出版された本で、大きくは3部構成になっています。第1部がエマニュエル・トッド氏へのインタビュー記事。第2部はトランプの共和党候補指名受諾演説、第3部は佐藤優氏による論考です。出版から3ヶ月以上経ち、トランプ政権の動向が少しずつわかってきている中で本書を読んだ感想ですが、エマニュエル・トッド氏の分析は非常に面白い。新自由主義的資本主義に対する民主主義の反撃であって、何も恐れることはない。今回最も明らかになったのが、エリート層およびそれを擁護するアカデミクス(経済学者を念頭に置いている)がいかに現状分析を間違ったか、という点である。トッド氏の最大の特徴は、世界の多様性を重視する姿勢ですが、これまでのグローバル化はそういった多様性を無視して、起伏をブルドーザーで無理矢理たいらにするような行為だったが、ようやくトランプ政権になって、そういった行為にストップがかかった、つまり世界はむしろ正常な方向に向かい始めた、という分析です。個人的には非常に説得力があると感じました。いま重要なことは、「多くの経済学者」が主張しているような「グローバル化は経済にとってプラスであって、格差の主犯はグローバル化ではない」という説明が正しいかどうかではなく、「多くの低所得者層」が「グローバル化こそが失業や格差の主犯である」と信じていることです。はたしてその信念が正しいのかどうかは、まさにトランプがグローバル化の波を逆流させたあとに自ずと結果が分かるでしょう。とても参考になりました。 第3部の佐藤氏の論考ですが、正直トッド氏の論考と一緒の本に掲載されているとレベルの低さを実感してしまいます。そのためボリュームは多かったですが物足りなさを感じました。トランプ後の米国について、孤立主義への回帰という点についても記述されていましたが、このあたりの分析はForeign Affairsの2017年3・4月号に掲載されている”The Jacksonian Revolt”という論文の方がよほど面白いと思いました。

Posted byブクログ

2022/04/27
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※このレビューにはネタバレを含みます

トランプ政権が終わった後に、過去の本と比べてどうだったかを照らし合わせるために読みました。 トランプさんの演説内容があり、とても良い発言をしています。 多くの日本人はトランプさんを誤解していると言いたいです。メディアは偏った報道をしていると改めて思います。 まずひとつ思ったのは、ヒラリーは戦争をやりたがっていたので当選しなくて本当に良かったです。 この本でとても気になったのが、多くの大統領に影響を与えた哲学者のニーバーという人物の話でした。 なぜアメリカは、世界の警察と言って様々な国に軍事介入をしたのか、軍事介入を始めた多くの大統領はニーバーの光の子(正義)が闇の子(悪)を倒すという単純な脳筋話に影響を受けているように思います。 今のウクライナ危機も多くの問題から発生しましたが、最も大きな原因は、オバマ政権がウクライナに内政干渉したことだと思いますし、バイデン政権の裏にはオバマがいるとも言われてるので、本当に不安です。 トランプさん帰ってきてほしい...。

Posted byブクログ

2022/01/10

面白かった! アメリカに脈々と受け継がれたニーバーの思想、トランプと赤狩りのマッカーシーの関係性など、インテリジェンスがないと思い至らないところまで解説してくださっているのがさすが佐藤優さん

Posted byブクログ

2020/04/20

アメリカ大統領選挙の前年、2016年12月、トランプが大統領候補になった時点で出されたものだが、共和党候補指名受諾演説全文が載ってたり、エマニュエル・ドットの「民主主義がトランプを選んだ」載ってたり、たいへん面白い。

Posted byブクログ

2019/01/20

対談かと思ったらそうではなく、トッド氏が30ページほど、あとはトランプ氏の演説、残りが佐藤氏という構成。副島隆彦氏は完璧にトランプを予想していたらしい。佐藤氏はそれほど悲観はしていない。日本の国として、今の時点で具体的にマイナス要因を明確にあげられないこともあるようだ。

Posted byブクログ

2018/10/28

【由来】 ・ 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・実は賞味はペラペラ。そうでなくても薄めの本書の1/7はトランプの演説(ち...

【由来】 ・ 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・実は賞味はペラペラ。そうでなくても薄めの本書の1/7はトランプの演説(ちなみに1/7がトッドのインタビュー)。 ・しかも実は最近、少し食傷気味の佐藤優。それでも高めの評価なのは、  知らなかったラインホールド・ニーバーについて少し知ることができた  田中宇の主張が的外れではないことを確認できた  から。 【目次】

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2018/08/05

トランプ氏をカリカチュア化せずに、冷静に語ってみようとした著だが、少し古く、当確したタイミングでの書である。今やトランプ氏が口だけではなく、修正はありながらも大枠は有言実行に動いている事が明らかだ。政治家の人となりをコミカルに捉え、政策の本質とは異なる視点でしか報道できない日本の...

トランプ氏をカリカチュア化せずに、冷静に語ってみようとした著だが、少し古く、当確したタイミングでの書である。今やトランプ氏が口だけではなく、修正はありながらも大枠は有言実行に動いている事が明らかだ。政治家の人となりをコミカルに捉え、政策の本質とは異なる視点でしか報道できない日本のマスコミからは伝わらない考察がここにはある。

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2018/04/28

トランプのアメリカ大統領就任について、エマニュエル・トッドと佐藤優の2人が分析したもの。 当然ながらアメリカ国内にいるのと日本から見るのとででは微妙に見方は違うものの、どちらも非常に冷静な分析で勉強になった。

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2017/04/27

この本を読み終えてまず最初にやったことは、蔵書管理ソフトの著者の項目をエマニュエル・トッド氏から佐藤優氏に変更したこと。この本の一番ケシカラン所は、トッド氏と佐藤氏が対談、もしくは佐藤氏がインタビューしたと思わせる表紙やタイトルにある。実際は朝日新聞社の記者が予め用意していたと思...

この本を読み終えてまず最初にやったことは、蔵書管理ソフトの著者の項目をエマニュエル・トッド氏から佐藤優氏に変更したこと。この本の一番ケシカラン所は、トッド氏と佐藤氏が対談、もしくは佐藤氏がインタビューしたと思わせる表紙やタイトルにある。実際は朝日新聞社の記者が予め用意していたと思われる想定問答をしただけで、トッド氏の話の魅力やインテリジェンスが全く発揮されておらず、読むのが苦痛なレベルであるとまで言える。しかしながら、佐藤氏のパートはニーバーの件が長すぎる以外は総じてしっかり表していると思う。 なので、これほトッド氏の著書ではなく、佐藤優氏の著書であると。フラットな意見のトランプ論が読みたかった私としては、佐藤氏の論には非常に共感を覚えた。

Posted byブクログ

2017/04/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

対談集かと思ったがさにあらず。トッド氏インタビュー、トランプ氏共和党候補氏名受諾演説、佐藤氏論考という作り。トランプ氏大統領就任前の昨年12月の発行。トッド氏曰く、トランプ氏当選は当然のこと。社会の現実を見ようとしないエリートに対する、民主主義の逆襲である。佐藤氏曰く、トランプ以後のアメリカを見極めるの三つのポイントは、①孤立主義への回帰(ニーバー思想からの脱却)、②FBIの政治化(自由の抑圧)、③国内の敵探し(マッカーシズムの再来)。さて、どうなることか。

Posted byブクログ