早春スケッチブック の商品レビュー
山田太一、逝く。彼のドラマは自分の心が柔らかかった時代に強いトラウマとして刺さっています。でも「早春スケッチブック」は見てないのです。実家を離れ暮らしの中でテレビドラマを見るという習慣から離れた頃…だったからかも。追悼の気持ちでこのシナリオ読みました。なんだ、この熱さは。なんだ、...
山田太一、逝く。彼のドラマは自分の心が柔らかかった時代に強いトラウマとして刺さっています。でも「早春スケッチブック」は見てないのです。実家を離れ暮らしの中でテレビドラマを見るという習慣から離れた頃…だったからかも。追悼の気持ちでこのシナリオ読みました。なんだ、この熱さは。なんだ、この強さは。読んでいる満員電車の中で心拍数が上がりました。今、コンプライアンスとか気にしていなかった時代のタイムスリップドラマが大人気ですが、それとは違う懐かしさとそして現代性に揺さぶられました。この時代を超えた普遍性は「いつか自分自身を、もはや軽蔑することの出来ないような、最も軽蔑すべき人間の時代が来るだろう」ー(『ツァラトゥストラかく語りき』)という山田太一を支えた言葉から生まれているのでしょう。その言葉がそのままシナリオになっています。きっとドラマも凄かったのだと思いますが、著者の前書き「一ワットの魂を持ち寄って」を読めたことは本で山田太一に触れたご褒美かも知れません。1983年に吐き出された「お前らは、骨の髄まで、ありきたりだ」というセリフに2024年早春、殴られました。
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