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一私小説書きの独語 の商品レビュー

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2025/02/01

芥川賞作家、西村賢太先生によるエッセイ集の第3弾です。西村先生曰く「例によって例のごとくのゴッタ煮風だ。」とのことですが、それが彼の作品を読んで来た人間にはたまらなく、また違った「味わい」があります。 本書は新世代の無頼派芥川賞作家、西村賢太先生によるエッセイ集の第3弾にな...

芥川賞作家、西村賢太先生によるエッセイ集の第3弾です。西村先生曰く「例によって例のごとくのゴッタ煮風だ。」とのことですが、それが彼の作品を読んで来た人間にはたまらなく、また違った「味わい」があります。 本書は新世代の無頼派芥川賞作家、西村賢太先生によるエッセイ集の第3弾になります。西村先生いわく 「ゴッタ煮風だ。」 とのことですが、いわば西村先生の人生を煮詰めた「闇鍋風」の本でも、二度、三度と読んでいくと、癖になってしまうようで、そこがなんとも怖くもあります。 内容はさまざまな雑誌に書いたものをひとつにまとめているので、日記あり、映画評論ありと、本当にあきさせないものがあり、最後まで楽しく読ませていただきました。 前半は今まで上梓してきた私小説の中で、「脚色」したものの実態が語られていたり、自分が好きだという溝正史原作の映画の解説であったり、自らが愛してやまず、ついには「歿後弟子」とさえ名乗るようになった物故作家、藤澤清造への熱い想い。 安アパートを転々としながら日雇い労働に従事し、大飯を食らい、安酒を飲み、買淫で女を抱き、だけど家賃は一切払わず、時々実家へと帰って母親から金を毟り取る…。 そんな日々の果てに生きているのだ、と考えると、 「あぁ、自分も生きていていいのかなぁ」 などと、これまた間違った読後感を「つい」得てしまいました。 ただ、僕は西村作品をすべて読んでいるので面白かったのですが、もしかすると西村先生の作品を読んだことがない方や彼の熱烈なマニア以外の読者にとっては全く面白くないかも知れません…。 ※追記 本書は2016年11月25日、KADOKAWAより『随筆集 一私小説書きの独語 (角川文庫)』として文庫化されました。西村賢太先生は2022年2月5日、東京都の明理会中央総合病院でご逝去されました。享年54歳。死因は心疾患。この場を借りて、ご冥福を申し上げます。

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2024/12/21

表題の『一私小説の独語』は私小説作品と重複した内容ともいえるが、北町貫多の話ではなく、西村賢太の話としてまた違った視点、文体で改めて読める面白さがある。それにしてもこの人の文章は内容に関わらず読んでいて楽しい。

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2022/05/02

西村賢太を偲び読む。 西村賢太と貫太との違いが種明かしされる部分もあり、西村作品愛読家には嬉しい。けれど、未読の人にとってもエッセイとして楽しめる内容になっていると思う。 『夏の風物詩』という2ページのJTの広告が素晴らしく、会う人会う人に読ませていたら、そのうちの何人かはこの...

西村賢太を偲び読む。 西村賢太と貫太との違いが種明かしされる部分もあり、西村作品愛読家には嬉しい。けれど、未読の人にとってもエッセイとして楽しめる内容になっていると思う。 『夏の風物詩』という2ページのJTの広告が素晴らしく、会う人会う人に読ませていたら、そのうちの何人かはこの本を買って一冊まるごと読んだという。それほど短くも引力のある文章だった。 このような細々とした仕事まで収められていることは遅れてファンとなった身には嬉しい。西村賢太が藤澤清蔵関連の資料を集めて喜んでいたのと同じように、私も文庫にまとめてもらったさまざまの資料に喜び、小説と照らし合わせてウンウン言ったりしてひとしきり楽しんだ。 それにしても、細々とした仕事にうつくしいものの多いこと。街やひろげた雑誌・新聞の中に、これからはもう西村氏の新しい記事が出ていてハッとすることがないと思うと、さみしい。 藤澤清蔵とちかしいのははもちろんのこと、『本のソムリエ』で川崎長太郎の作品を推しその推薦文として書かれている「自虐を描いているようで実は全くその逆だと云う、至極したたかな側面を持っている」は、西村作品にも一部共通しているように思う。 うじうじしていて冴えなくて、ピカピカの主人公になぞなれないと思いながら、それでも自意識だけは強くて苦しくて…そんな苦しみを率直に言葉にしてくれたのは西村賢太だったなと改めて思った。

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2017/08/30

色々なところに書いた文章を寄せ集めたもの。寄せ集めにも程があって、別に一々改めて活字にして出版しなくてもよいような類の広告文なんかも入っていて、そういうのに当たると少々やりすぎじゃないかと思う。 ただ、著者の文体は本当に面白くて、なんとなく文体だけでつらつらっと読まされてしまう。...

色々なところに書いた文章を寄せ集めたもの。寄せ集めにも程があって、別に一々改めて活字にして出版しなくてもよいような類の広告文なんかも入っていて、そういうのに当たると少々やりすぎじゃないかと思う。 ただ、著者の文体は本当に面白くて、なんとなく文体だけでつらつらっと読まされてしまう。 ただ、ほんとにどうでもいい話ばかりなので、読み終えて特に何も残らない。ただ楽しかったというだけ。

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