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四つのエコロジー の商品レビュー

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2018/07/07

ガタリの思想を主題とした、わが国では最初の解説書です。『三つのエコロジー』や『カオスモーズ』などの著作で展開されているガタリの議論を紹介しながら、彼の複雑な議論をつらぬいている根幹となる思想をわかりやすく説明しています。 著者は、ガタリの思索が、カオスとコスモス、現実性と可能性...

ガタリの思想を主題とした、わが国では最初の解説書です。『三つのエコロジー』や『カオスモーズ』などの著作で展開されているガタリの議論を紹介しながら、彼の複雑な議論をつらぬいている根幹となる思想をわかりやすく説明しています。 著者は、ガタリの思索が、カオスとコスモス、現実性と可能性などの二元論的な構図に陥る疎外論的な問題設定を乗り越え、それらが混淆を避けえないことを認めながら、「カオスモーズ」や「潜勢力」といった概念のもとで世界の新たな配置をつくりだそうとする試みをおこなってきたことを明らかにします。また「リトルネロ」に関する議論では、著者自身の音楽などの現代文化についての感想なども織りまぜながら、反復するリズムのなかから資本主義や精神分析の支配構造を脱する希望をとりだそうとしています。 著者は「あとがき」で、『分裂分析的地図作成法』については読解や分析は十分におこなうことができなかったと述べているように、精神分析に対するガタリの実践と思想とのかかわりという重要なテーマがのこされていますが、難解なガタリの思想のおおまかなイメージを明快に描き出したという意味では、すぐれた入門書といえるのではないかと思います。

Posted byブクログ