枕草子 の商品レビュー
「枕草子」清少納言/酒井順子訳 995年頃 他の人の書評に「平安時代のOLブログ」とあって笑ってしまった。なるほど。でもブログ炎上しそう。上から目線で差別発言バリバリ。自慢話と小言が多く、世間知らずの新入社員をいじめそう。文字通りの「お局様」だし。 当時のセレブ暮らしの雰囲気がダ...
「枕草子」清少納言/酒井順子訳 995年頃 他の人の書評に「平安時代のOLブログ」とあって笑ってしまった。なるほど。でもブログ炎上しそう。上から目線で差別発言バリバリ。自慢話と小言が多く、世間知らずの新入社員をいじめそう。文字通りの「お局様」だし。 当時のセレブ暮らしの雰囲気がダイレクトに伝わってくるのは面白い。あんたらいつ仕事しているんだと思うけれど。 「方丈記」(鴨長明/高橋源一郎訳) 1212年頃 まさかのカタカナ混じり翻訳「モバイル・ハウス・ダイアリーズ」。高橋源一郎って、何か仕掛けをしないと気がすまないんだな、これじゃ「方丈記」を読んだ気にならんな、と思いつつ、読み進めるうちにいつかストンと腑に落ちた。文章って大事だ。 「徒然草」(兼好法師/内田樹訳) 1330年頃 身の回りのことを書いたほかの二編に比べて、人生訓や逸話が多い。説教臭くならないのは著者の人柄なんだろうか? なんとなく「昔のエッセイ」でひとくくりにしていたけれど、成立年代に300年近い差があるんだな。今のひともこういうの書いているし、1000年経っても人間って変わらない。 池澤夏樹個人編集のこのシリーズ、日本霊異記と今昔物語がある。ちょっと興味が。源氏物語は3巻もあるのか・・・
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「枕草子」の冒頭を知らぬ者はおそらく居ないほどなのに、その本当の内容を知っている者は、果たして日本人の何%なのでしょうか。 春はあけぼの、から自然を語って数ページで終わり、ではなく、正に延々と(宮中から見える)世の中の森羅万象を、清少納言の価値観で評価付けする所謂百科全書みたい...
「枕草子」の冒頭を知らぬ者はおそらく居ないほどなのに、その本当の内容を知っている者は、果たして日本人の何%なのでしょうか。 春はあけぼの、から自然を語って数ページで終わり、ではなく、正に延々と(宮中から見える)世の中の森羅万象を、清少納言の価値観で評価付けする所謂百科全書みたいなものだったのである。いわゆる自然と生活描写だけでなく、日記あり、掌小説あり、なのだ。私の思ったのは、これは日本最初の大衆雑誌ではないか?或いはヒルナンデス、或いはバイキング。時に知的で、時に下品、時に独断専行。1番の読者は中宮定子だったかもしれないが、いつからか宮中女房全員に読者は移ったのかもしれない。 清少納言の知性は、隠しようがない。しかし、その知性は世界を作ろうとしない。その代わり、世界を語り尽くす。思うに、日本の女性の本性を描いて、日本は突然その高みの頂点近くまで行ったかもしれない。嘘だというのならば、現代の放送作家で、彼女よりも幅広く、深く、エンタメに、ホンを書ける人がいたら教えてほしい。 「方丈記」は、三大随筆の中で、全文を読んでいる唯一の作品である(短いからね)。訳者は、大震災を経た現代、この人しかいないでしょ、と思える高橋源一郎。流石、ポップな現代文に蘇った。そうやって読んでみると、大震災の描き方が、ルポ的な というのだけが特徴ではない。前半の「現代の首都・京都」という大都会の有様そのもの(大厄災・飢餓・貧困)が、そのままストレートに現代の日本に繋がっているのである。大都会の人間どもが1000年経っても同じことをしている証しだと思われる。高橋源一郎の料理の仕方面白かった。 「徒然草」は、もしかしたら他の訳書で全文読んでいたかもしれない。至る所に聞いたような事が、書かれている。しかし、読後の感慨は新たなものだった。兼好坊主はこう云う。「どれも『源氏物語』や『枕草子』などに繰り返し言われていることであるが筆に任せて書き散らすよ」と。これも、当時の週刊誌的な傾向を持っているが、枕草子のような繊細さはない。かなり説教くさい。もちろんエンタメ志向なので、ユーモアもある説教である。俗言も多いが、例えば第92段のような卓見もある。 三大随筆。こうやって訳書でスラスラと読んでわかるのは、1000年前に日本語は突然随筆の頂点近くまで登ったのだということである。 2017年10月読了
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高橋源一郎のスーパー「方丈記」の凄さで星5つ。それにしても。人間って千年経っても考えることは余り変わらないんだねえ。 枕草子はいわば殿上人の世界であり、わかりにくい。 徒然草は教訓集として大変価値があるのではないかと感じた。
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<枕草子> 「平安時代OLのブログ」らしく、酒井順子訳がしっくりくる。 積もった雪がいつまで保つか賭けた話や「・・・そんな定子様が素敵」で終わるシリーズもよい。「こっそり書きためていたのが出回ってしまった」というくだりは笑った。 <方丈記> まさかのカタカナ英語まじり訳。...
<枕草子> 「平安時代OLのブログ」らしく、酒井順子訳がしっくりくる。 積もった雪がいつまで保つか賭けた話や「・・・そんな定子様が素敵」で終わるシリーズもよい。「こっそり書きためていたのが出回ってしまった」というくだりは笑った。 <方丈記> まさかのカタカナ英語まじり訳。「モバイルハウス建てた」とはそういうことか。 <徒然草> たしかにつれづれなるままに書いてある。出家の話、達人の話、妖怪の話、豆知識...。「ダメな奴は何をやってもダメ。見苦しいから人目につかないようにすればよい」とは誰もが思っていることかもしれない。現代は好き好んで目立とうとしているのではなく、無理やり競争の場に追い立てられて悪目立ちする結果になっている人が多いような気もするが。 1000年前も現代も人の心はあまり変わっていない。
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高橋源一郎訳、方丈記、が読みやすい、 朝、目を覚ます。ああ、こんな歳になっても、結局、生きている意味がわからない。ふと、そう思うことがある。
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離れに引き蘢ってギターかき鳴らす高校生みたいなもんとも言われてきた?鴨長明の「方丈記」なので、ポップな訳も違和感ないような気がする。 天災に苦しめられたり遷都がうまくいかなかったり、現代と変わらないよね。 「枕草子」も、「まさか人が読みはすまいと思って(略)書きためたもの」と言...
離れに引き蘢ってギターかき鳴らす高校生みたいなもんとも言われてきた?鴨長明の「方丈記」なので、ポップな訳も違和感ないような気がする。 天災に苦しめられたり遷都がうまくいかなかったり、現代と変わらないよね。 「枕草子」も、「まさか人が読みはすまいと思って(略)書きためたもの」と言いながら、好きなものや好きじゃないものを並べてるわけだけれど、それが着眼点も理由もうまい文章で、今の素人ブログの比じゃない。ただ者じゃない筆の運び。 古びとたちとその暮らしが近く感じられる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
古典は原文の古語の美しさやリズムを味わえば良いのでしょうが、素養が無いものには理解できないので、このような現代語訳は非常にありがたい。原文と照らし合わせて読めば良かったと思いました。枕草子では雅な感じが伝わってきました。方丈記は堀田善衛の『方丈記私記』を面白く読んだことを想いだしました。徒然草は「教養のある人は物語りするとき、まわりに人がたくさんいてもひとりだけに向かって語りかけ、それに人々が自然に聞き耳を立てるようにするものである。」に、はたと膝を打ちました。
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「方丈記」を「モバイル・ハウス・ダイアリーズ」と名付けた高橋源一郎。期待して読んでみたが、方丈記原文の完成度が高すぎる。そして、やはり方丈記、という名前の完成度も高いのだ。 古典翻訳は新しい文学でもあるので僕は好きだし、だからこそこのシリーズは楽しませてもらっている。以前のシリ...
「方丈記」を「モバイル・ハウス・ダイアリーズ」と名付けた高橋源一郎。期待して読んでみたが、方丈記原文の完成度が高すぎる。そして、やはり方丈記、という名前の完成度も高いのだ。 古典翻訳は新しい文学でもあるので僕は好きだし、だからこそこのシリーズは楽しませてもらっている。以前のシリーズで町田康の圧倒的な宇治拾遺物語を見てしまっていると、もう横ずれでは気持ちよくなれなくて、正攻法が一番と思うわけだ。 内田樹の徒然草は、まあ正攻法かなあ。徒然草自体が、何をいっているわけでもないような、そんな内容なので、やっぱりそんななのだ。酒井順子の枕草子は、なにかそこに女性がいる、という感じに匂い立つ。今回の3つの中ではこれが珠玉だなあ、なんて思ってしまった(一番期待していなかったんだけど)。
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知人のおすすめ。 冲方丁の「はなとゆめ」を読んだら、枕草子が読みたくなった。 酒井順子ぴったりだなぁ。違和感なく読める。 なんだか、ブログみたいですね。長さも内容もまちまちで。面白い。 わかる!とか、言うねぇ、とか、にやにやしてしまう。 教養。 方丈記は、あとがきにもあったよ...
知人のおすすめ。 冲方丁の「はなとゆめ」を読んだら、枕草子が読みたくなった。 酒井順子ぴったりだなぁ。違和感なく読める。 なんだか、ブログみたいですね。長さも内容もまちまちで。面白い。 わかる!とか、言うねぇ、とか、にやにやしてしまう。 教養。 方丈記は、あとがきにもあったように自分たちの時代の言葉になっているのですごくわかりやすいし、それによって書かれた時代に読んだ人たちと同じような体験ができているのかなと思った。 当時こういう発想や行動は、センセーショナルで、変人扱いされたんじゃなかろうか。 横文字が出てくるような、一見ぶっとんだ訳が面白い。 それにしても鴨長明さん、苦労人だったのですね…だからこそのこの文章なのだなぁ。 徒然草は、渋いな〜という印象。 あと、枕草子ぽい、と思ったら解説でも直系の子孫と書かれていてですよねってなるなど。こうやって3作続けて読めたのがよかった。 作品の個性を感じられるのは現代語訳してくれたからこそだよなぁ。 物に触れると心が発動するとか、世の中を変えないと盗人はなくならないとか、現代にも通じるところあり、おじいちゃんの説教みたいな感じで反発したくなるところありで、面白く読みました。
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随筆とは筆に随うの意である。そこで筆がどれほど自在に遠くまで人を連れ出すことか。現代の日本人の感受性はこれらの随筆に由来すると言ってもいい。
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