芥川症 の商品レビュー
なんとふざけた題名の本だろう・・・と読み始める。だが、待てよ!?目次を見ると、おお!これは芥川龍之介の作品パロディだ!自然と顔がにやけてしまった。私はこの手の機転を利かす言葉遊びが大好きな人間なのである。「病院の中」=藪の中、「他生門」=羅城門、「耳」=鼻、圧巻は「蜘蛛の意図」=...
なんとふざけた題名の本だろう・・・と読み始める。だが、待てよ!?目次を見ると、おお!これは芥川龍之介の作品パロディだ!自然と顔がにやけてしまった。私はこの手の機転を利かす言葉遊びが大好きな人間なのである。「病院の中」=藪の中、「他生門」=羅城門、「耳」=鼻、圧巻は「蜘蛛の意図」=蜘蛛の糸である。ブラックユーモア風の作品に仕上げてある。これは面白い!・・・他の作品もそれぞれ医療に関する観点から書かれてあり読み応えがあった。そして、龍之介が盗作していたなんてだれが想像したであろうか。いや実に面白い作品だった。
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芥川賞〟ならぬ『芥川症』は医師免許をもつ作家が、芥川龍之介の名短編に触発され著わした、ブラックユ-モア溢れる医療エンタティメントの全7編。 専門用語を並べる病院の医師や看護師の説明に振り回される『病院の中』(藪の中)、心臓移植手術を受けた男の運命『羅生門』(他生門)、美容整形と...
芥川賞〟ならぬ『芥川症』は医師免許をもつ作家が、芥川龍之介の名短編に触発され著わした、ブラックユ-モア溢れる医療エンタティメントの全7編。 専門用語を並べる病院の医師や看護師の説明に振り回される『病院の中』(藪の中)、心臓移植手術を受けた男の運命『羅生門』(他生門)、美容整形と美意識を問う『耳』(鼻)、殺生を嫌う女性看護師『クモの意図』(蜘蛛の糸)、開業医vs.新鋭芸術家の『極楽変』(地獄変)、過剰な善意が困惑を招くケアマネ『バナナ粥』(芋粥)、本編の白眉『或利口の一生』(或阿呆の一生)と怪作揃い!
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芥川龍之介の作品を元に描かれた7つの短編。 芥川龍之介の作品を良く知っていれば、もっと楽しめたと思うけど、残念ながら私はあまり知らないので… ただ、医師の経験を持つ著者だからこその視点から描かれるユーモアと怖さが際立つ。 2019.10.27
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どれも怖い。短編のそれぞれの題名は芥川龍之介の作品のもじりであるが 社会的な問題など皮肉に描かれているところも。
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【医療小説の短編集】 謎解きとか仕掛けより、心理描写が秀逸な著者。 ニヤリとさせられる話から、ドロドロした話まで盛りだくさん。 医療現場をちょっとだけ知ることができそうなのも良し。
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芥川龍之介が、いかに優れた小説家であったとはいえ 残されたのは基本的に小粒な作品ばかりだった だから、そのスキャンダラスな死への憧憬を抜きにしては こうも長年読み継がれる存在となりえたものか 少々疑わしいと思われる向きも、けっこう多いと思う 半ばは真だ しかし、芥川の凄まじさは ...
芥川龍之介が、いかに優れた小説家であったとはいえ 残されたのは基本的に小粒な作品ばかりだった だから、そのスキャンダラスな死への憧憬を抜きにしては こうも長年読み継がれる存在となりえたものか 少々疑わしいと思われる向きも、けっこう多いと思う 半ばは真だ しかし、芥川の凄まじさは その死に至る準備段階からの副産物として 「歯車」などの壮絶な晩作を次々と生み出してきたところにあるのだ 自らの意志により死を捉えた人の明晰さ、というある種のロマンを 芥川は、いちはやく体現してみせたのだ …とはいえ、むしろ本人としては 「阿呆」と呼ばれて笑われることを望んだのかもしれないけれど 久坂部羊の「芥川症」は、作者の専門である医療をテーマとしつつ 芥川龍之介の代表作をオマージュした短編集 死におびえる人々、それに死を相対化して安心する人々の 罪のない(こともない)平凡さから 生きることのありがたみを抽出しようとする一方 死への抗いを不自然なこととしても描いている
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芥川龍之介の短編をモチーフとして医療系の短編で「芥川症」とはうまいアイディアですね。著者が医師だからこそのアイディア。 『極楽変』は、売れない芸術家と医師のパトロンの物語。 無産階級の読者としては、普通は売れない芸術家の視点で読んでしまうのですが、主人公は意外にもパトロンの医...
芥川龍之介の短編をモチーフとして医療系の短編で「芥川症」とはうまいアイディアですね。著者が医師だからこそのアイディア。 『極楽変』は、売れない芸術家と医師のパトロンの物語。 無産階級の読者としては、普通は売れない芸術家の視点で読んでしまうのですが、主人公は意外にもパトロンの医師の方。 一般的な作家は芸術家の視点で書くのではないかと思われますが、これもやはり著者が医師だからこその発想・展開でしょう。 『病院の中』も医療現場を知る著者ならではの展開。 『クモの意図』の主人公の看護師の名前が「神田多恵」とは面白い。 冒頭、ご隠居さんがヌケサクの喜六に『蜘蛛の糸』を語って聞かせる落語がありますが、これが面白い。日常生活でもこんな風に発想したり会話できたら面白いだろうなと思いました。 『バナナ粥』は介護問題をテーマにしたシリアスな展開。バナナが食べたいという吾一郎さんのためにケアマネージャーの阪本さんがバナナ粥を作ってあげます。 こんなお粥、できるのでしょうか。食べてみたい。 『或利口の一生』は、これだけのページに一人の人間の一生が描かれていて呆然。死について考えさせられます。所詮ヒトの一生とはこんなものかもしれません。 http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20180423/p1
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裏表紙に黒いユーモアって書いてあるけども、久坂部さんのユーモアって、たぶん怖すぎて笑えないやつ・・って思ってたら、やっばり痛いわ怖いわ気持ち悪いわでまったく笑えませんでした。最高。(←褒めてる) 短編集なので長編よりよほど読みやすいけど、それでも元気な時に読まないと引き連られそ...
裏表紙に黒いユーモアって書いてあるけども、久坂部さんのユーモアって、たぶん怖すぎて笑えないやつ・・って思ってたら、やっばり痛いわ怖いわ気持ち悪いわでまったく笑えませんでした。最高。(←褒めてる) 短編集なので長編よりよほど読みやすいけど、それでも元気な時に読まないと引き連られそう。
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父の死因とは一体何だったのか?食い違う医師・看護師の証言。真相を求め、息子はさまよう(「病院の中」)。多額の募金を得て渡米、心臓移植を受けた怠け者の男と支援者たちが巻き起こす悲喜劇(「他生門」)。芸術を深く愛するクリニック院長と偏屈なアーティストが出会ったとき(「極楽変」)。芥川...
父の死因とは一体何だったのか?食い違う医師・看護師の証言。真相を求め、息子はさまよう(「病院の中」)。多額の募金を得て渡米、心臓移植を受けた怠け者の男と支援者たちが巻き起こす悲喜劇(「他生門」)。芸術を深く愛するクリニック院長と偏屈なアーティストが出会ったとき(「極楽変」)。芥川龍之介の名短篇に触発された、前代未聞の医療エンタテインメント。黒いユーモアに河童も嗤う全七篇。
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