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医学の勝利が国家を滅ぼす の商品レビュー

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2016/12/26

センセーショナルなタイトルである。ぼくはこのタイトルを見て、中味はほぼ予想できた。里見さんはガン治療の専門家であり、日本赤十字や国立ガンセンターなどの要職を勤めてきた人だ。その人が、75歳以上の延命治療はやめようと提唱しているのである。それは、医療費が無駄に使われているからである...

センセーショナルなタイトルである。ぼくはこのタイトルを見て、中味はほぼ予想できた。里見さんはガン治療の専門家であり、日本赤十字や国立ガンセンターなどの要職を勤めてきた人だ。その人が、75歳以上の延命治療はやめようと提唱しているのである。それは、医療費が無駄に使われているからである。今では誰でも知っていると思うが、どんなに高い治療を受けても、本人の負担額はたしか月5万円くらいに抑えられている。その残りはというと国家が負担しているのである。だから、高い治療、高い薬が開発されればされるだけ、国家負担が増加し、やがては(まもなくかもしれない)破綻するという警鐘である。実際、抗がん剤は効く人と効かない人の差が激しく、薬によってはそれがわかるものもあるそうだが、そうでないものの方が多い。効かないと分かった段階で医者が止めようと思っても、止めるわけにはいかない。だから、国の医療費はますます膨れあがるというわけである。里見さんの言うのは正論だ。本書が語っているのは、単に医療の技術問題ではない。その背後にあるのは、人間がいかに生きるか、いかに死を迎えるかという問題である。それにしても、里見さんは自分の思うところを好き放題書いている。これだけ書ければなんと気持ちがいいことだろう。

Posted byブクログ