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絶滅の地球誌 の商品レビュー

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2017/01/30

本全体の内容を反映したものではないが、印象に残った部分を。 テロリストとはだれか。「テロリスト」とはあらゆる身分秩序から排除された者である。彼らは法の下にないゆえに、「容疑もなければ、犯罪の要件すら充たすことなく即座に殺してよい者となる」(263)。「テロリスト」と名指された瞬間...

本全体の内容を反映したものではないが、印象に残った部分を。 テロリストとはだれか。「テロリスト」とはあらゆる身分秩序から排除された者である。彼らは法の下にないゆえに、「容疑もなければ、犯罪の要件すら充たすことなく即座に殺してよい者となる」(263)。「テロリスト」と名指された瞬間、この条件は充足され、その素性や詳細は問われることなく殺される。翻って、「殺されたからにはテロリストにちがいない、という倒立した判断すら罷り通る」(263)ことになる。 「一般人」の秩序から排除されたとき、あるいは排除された・されていると感じたとき、「一般人」は「テロリスト」となる。あるいは、誰かからそう名指されたとき、自らそう名指したとき、その瞬間「一般人」は「テロリスト」となる。そして、行為や素性が問われることなく殺されるがままとなる。なぜなら、殺されたからには「テロリスト」であって「一般人」ではなかったからだ。 したがって、「一般人」は「一般人」の秩序やカテゴリーから外れないように常に警戒し、逆に、ただちに誰かを「テロリスト」と名指すことで、自らが「テロリスト」でないことを明かすべく、つねに相互に監視しあい、相手を出し抜こうとするだろう。共謀罪が成立した世界とはこのような世界である。「テロリスト」とは名指しの問題以上でも以下でもない。「一般人は対象外」という答弁のロジックが孕む違和はここにある。

Posted byブクログ