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きんいろの祝祭 の商品レビュー

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2016/12/31

泣いた。きんいろがいるこの世界の在り方が少しずつ語られていく中、傷を抱えた受が自分を必要とするガロという国とそこに住まう人々に出会い解放されていく流れが秀逸。淡々としている受に攻への恋情が芽生えていく様も自然で、ひとくせありそうな登場人物たちや攻との禁忌の恋と受の過去にきんいろの...

泣いた。きんいろがいるこの世界の在り方が少しずつ語られていく中、傷を抱えた受が自分を必要とするガロという国とそこに住まう人々に出会い解放されていく流れが秀逸。淡々としている受に攻への恋情が芽生えていく様も自然で、ひとくせありそうな登場人物たちや攻との禁忌の恋と受の過去にきんいろの秘密など、重要な要素が盛りだくさんながらもそのどれもが破綻せずまた駆け足にもならず粛々と物語を彩っていた。大団円ともいえる最後に、ひとつだけきんいろの切ない結末が影を落としているが、それさえもこの美しい物語を形作るファクターであると言ったら言い過ぎか。ファンタジー世界にありがちな状況説明を、受の心情に織り交ぜて読み手に語りかける話運びに、架空の物語なのを忘れて最後まで夢中になって読んだ。読了後は、胸があたたかくも苦しくなった。

Posted byブクログ