東京道路奇景 の商品レビュー
改めて、東京の道路は面白いと思った。 昔、先輩の家で惑星ソラリスを見たとき「コレって首都高なんだぜ」と言われたことを思い出した。
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道路プランのマニア向け。都市に埋め込まれたロジスティクス・システムの3次元的構造について、思いを巡らす楽しさ。
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「ブラタモリ」以降、雨後の筍の如く出版され続ける地形本。本書も一応はその流れの一端に位置付けられるが、ここでは東京を縦横に巡る「道路」のネットワークに焦点が当てられている。工学部出身の著者にしては技術系の話題は少なめで、むしろ意外なほど真っ当な歴史的/社会的側面から、インフラとし...
「ブラタモリ」以降、雨後の筍の如く出版され続ける地形本。本書も一応はその流れの一端に位置付けられるが、ここでは東京を縦横に巡る「道路」のネットワークに焦点が当てられている。工学部出身の著者にしては技術系の話題は少なめで、むしろ意外なほど真っ当な歴史的/社会的側面から、インフラとしての道路を切り口として東京の都市形成過程が紐解かれて行く。 最初に羽田空港から新宿新都心までの山手通り沿いに現れる「奇景」スポット巡りにより東京の奇景が類型化され、さらに海外主要4都市との比較の中で「なぜ東京には他に見られない非日常的光景が日常として溶け込んでいるのか」が考察される。著者によればそれは「都市間交通網の整備が脅威でしかなかった中央集権国家としての近世日本が、急速に西欧にキャッチアップしようとして移動手段の整備を先行させ、相対的に遅行した道路インフラをカバーしようとして首都高が急速かつアドホックなやり方で建設されたから」ということになり結論としてはやや在り来たりの感はあるが、立体的視点から描かれた豊富な図表の挿入により極めて直感的で分かりやすい構成となっている。東京各所の混沌とした景観に「未完の美」の香りを嗅ぎ取り、そこに都市としての「伸びしろ」を見る著者の視点には自分としても共感するところが大きかった。
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