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2017/10/13

心理としての首都に育った著者が都市に落胆を深めながら、あるはずの生地の所在を求めて文明の残骸の上を歩き、そのため息のぬかるみに足を取られて喘ぎ、無地感の灰にまみれて記憶の底辺へと急ぎ、やがて旅立つ鳥の行方や満ちる月の光、さらには血縁の声によって自身が賦割される彷徨の軌跡を記した詩...

心理としての首都に育った著者が都市に落胆を深めながら、あるはずの生地の所在を求めて文明の残骸の上を歩き、そのため息のぬかるみに足を取られて喘ぎ、無地感の灰にまみれて記憶の底辺へと急ぎ、やがて旅立つ鳥の行方や満ちる月の光、さらには血縁の声によって自身が賦割される彷徨の軌跡を記した詩集、ではない。そうではなく、この詩集は大切な死者に触れることが叶うのならば、その死者を浮かび上がらせるための背景として、この目に見えるものすべてを灰色に染め上げてもいい、という屈強な情熱の記録ではないのか。(岸田将幸)

Posted byブクログ