不妊治療の不都合な真実 の商品レビュー
今や26〜27人に一人、約4%の子供が体外受精児と言われている。 少子化対策のもと、自治体等からの支援もあり、40歳を超えての初産も決して珍しくはない。 高齢出産、卵子の老化、男性不妊.....。 私たちの周りには科学技術が溢れ、その恩恵を受ける人の割合や知識の浸透具合はますます...
今や26〜27人に一人、約4%の子供が体外受精児と言われている。 少子化対策のもと、自治体等からの支援もあり、40歳を超えての初産も決して珍しくはない。 高齢出産、卵子の老化、男性不妊.....。 私たちの周りには科学技術が溢れ、その恩恵を受ける人の割合や知識の浸透具合はますます増大している。 しかしちらほらと耳にするのは、何百万もかけたけれど、結局うまくいかなかった、という話。 そういった「失敗」の話はあまり語られず、ひっそりと当事者の悲しみと一緒に葬り去られる。 今の不妊治療のあり方はこれでいいのか。 医療従事者も、患者の側も、信じたいもの、見たいものしか見ていないのではないか? そこに踏み込んだのが本書だ。 もっともな提言として「成功に対して公的助成せよ」がある。 とりあえず体外受精しましょう、それを何度もやりましょう、ダメでした、では母体にも、財政にも負担がかかりすぎだ。 ステップダウンという考え方は悩んでいる人にとっては、ありえない、と思われる選択かもしれない。 しかし、私にはそれはあながち間違いではない、と思えた。 勉強でもなんでも、つまづいたら一度戻るのが近道になる。 勉強とは違う、そうかもしれない。 だが、いくら同じところでがんばっても袋小路のまま、ストレスがかかり続けたままでは、うまくいくとは思えないのだ。 あなたは当事者じゃないからわからない、そう、私にはわからない。 他人が勝手に感想をつらつら述べているだけだ。 だが、物事は俯瞰してみた方がいいときもある。 頑張る人はどうしても視野が狭くなりがちだ。 頑張ることは本当に大切で、素敵な長所だけれども、リラックスも同じくらい大事。 緩めることも、一歩進むために大切なことなのだ。
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個人的には縁はないが、周囲で俄かに不妊治療を始めたという話に触れる機会が増えたため知識増強のために購入。今や出生児の27人に1人が体外受精児だというから、医療の分野ではかなりポピュラーなトピックの一つと言えるだろう。しかし本書によれば根拠の不確かな指標が用いられることにより「必要...
個人的には縁はないが、周囲で俄かに不妊治療を始めたという話に触れる機会が増えたため知識増強のために購入。今や出生児の27人に1人が体外受精児だというから、医療の分野ではかなりポピュラーなトピックの一つと言えるだろう。しかし本書によれば根拠の不確かな指標が用いられることにより「必要のない患者」が高額な治療費を要する不妊治療へとミスリードされているうえ、そもそもその体外受精の周期あたりの成功率も7分の1程度しかないという。一応不妊治療には助成金が出ているが、著者はそれがユーザーではなくクリニックへの助成となってしまっている現状を指摘し、これを打破するには施術という「過程」ではなく、妊娠という「結果」への成功報酬に助成の形を変えるべきと指摘する。数多くの不妊に悩むカップルに相対して来た著者ならではの問題提起であり説得力があると思った。 ただ裏を返せば、「必要のない=妊娠の可能性が低い」カップルには助成すべきでないという提言でもあり、ここに拒絶反応を示す向きも相当に多いと思われる。しかし、まさにそこに本書が「不妊治療の不都合な真実」と題された最大の理由があるのではないだろうか。著者の、優しさに包まれてはいるがシビアな指摘により「子供を持つことが全てではない」という当たり前の事実に眼を開くカップルが1組でも多く増えることを願う。
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