アルコール依存のための治療ガイド の商品レビュー

ロバート・J.メイヤーズ(著者),ジェーン・エレン・スミス(著者),渋谷繭子(訳者),吉田精次,境泉洋

2017/04/23

日本ではCRAを家族援助に応用したCRAFTの方が先に紹介されて効果が実証されているが、おおもとのCRAの初の紹介翻訳本。監訳者もCRAFTの第一人者。米国ではCRAは他の治療法より有効であるというエビデンスが重ねられておりアルコール問題だけでなく薬物問題にもエビデンスが蓄積されているようだ。
このプログラムで最も重要なのはアセスメントで、変化のための同期の特定強化、薬物使用の背景と基本情報の収集、CRAの機能分析の収集、が3つの主要要素であり、そのツールも用意されている。またジスルフィラム(抗酒剤)の使用のための方法や試験的断酒など、普段、我々が治療で行っていることが根拠を持って語られており共感が持てた。また社会的及び娯楽的カウンセリングなどシラフを支えるカウンセリングや夫婦セラピーなど、学ばされることが多かった。序文にミラー博士の文章もあり、MI(動機づけ面接)と共通の要素を感じた。
私たちも「酒歴面接」というツールを使って依存症面接に利用しているが、本書で紹介されているツールを加えることで更に治療が充実するように感じた。