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フランス人ジハーディスト の商品レビュー

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2017/10/02
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【210冊目】過激派組織「イスラム国」に参加するため、フランスからシリア・イラクに渡航する若者にインタビューした記録をまとめたもの。当事者の肉声であるという点では資料としての価値は高いかもしれないけど、語られている内容に目新しさはない。  本書の構成の問題としては、何が焦点なのか分かりづらい。一貫した主人公がいるわけでもなければ、章をまたいで登場する人物もいればそうでない人物もいる。章分けも、どういう基準で行われているのか分かりづらい。そのため、メリハリをつけて読めない。  あと、僕が本書に期待した「若者が過激思想に絡め取られる端緒は何なのか」という点が全く解明されていない。語られるのは、当事者がhindsightで語る内容だからかもしれないが、まるで神の啓示に導かれたから改宗したんだとでも言いたげな言葉でしか説明されない。そのため物足りなさが残る。  また、本書の原著がフランスで出版されたのは2014年であり、「イスラム国」が全盛期の頃。それから3年後の現在、有志連合による「イスラム国」支配地域への空爆により、同組織は大幅に弱体化している。本書に登場する若者たちが、現在の「イスラム国」を見ても同じように憧憬の念を抱くとは限らないだろう(相変わらず、欧米諸国でテロは起き続けているが。)。  そういう意味では、本書の内容は既に歴史の一部になりつつあるのかもしれない。21世紀の最初の数年に起こった、テロ組織による領域支配。しかし、「テロ」に関する話題が人口に膾炙する時代はしばらく続くだろうし、テロとの戦いも当分の間は大きな政策課題になり続けるだろう。

Posted byブクログ