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足利直義 の商品レビュー

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2020/09/10

足利尊氏の弟にして、室町幕府の基礎を固めた人物の評伝。史料を踏まえ、近代における評価の変転を押さえながらも、新しい人物像が描かれている。観応の擾乱後半における無気力ぶりを、尊氏の対後醍醐のそれと対照させる視点は興味深かった。

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2019/01/04

足利直義の発給文書の検討から二頭政治とは言っても尊氏の恩賞宛行権を奪わずに所領安堵のような業務に甘んじたこと、寺社本所を優遇して鎌倉時代回帰のような政策を進めたことが観応の擾乱において優勢になることができず、結局滅ぼされることになった。歴史上褒貶が様々に入れ替わった直義の人物評が...

足利直義の発給文書の検討から二頭政治とは言っても尊氏の恩賞宛行権を奪わずに所領安堵のような業務に甘んじたこと、寺社本所を優遇して鎌倉時代回帰のような政策を進めたことが観応の擾乱において優勢になることができず、結局滅ぼされることになった。歴史上褒貶が様々に入れ替わった直義の人物評が冷静に行われている。

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2017/07/06

もうすぐ中央公論から『観応の擾乱』が出るので、予習の意味で紐解く。 著者が高師直びいきなのは有名だが、直義像を伝えるにしても、高潔な政治家という側面よりも語弊はあるけど、可愛いところのある人間像を見出している。実際、直義が尊氏の尻を叩かなければ、鎌倉幕府倒幕はもとより室町幕府の成...

もうすぐ中央公論から『観応の擾乱』が出るので、予習の意味で紐解く。 著者が高師直びいきなのは有名だが、直義像を伝えるにしても、高潔な政治家という側面よりも語弊はあるけど、可愛いところのある人間像を見出している。実際、直義が尊氏の尻を叩かなければ、鎌倉幕府倒幕はもとより室町幕府の成立もなかったと思う。それだけに兄弟間で権力の分割がうまくいかなかったのは残念なこと。二人だけなら上手くいったろうに。周囲の事情がからむと思うとおりには人間は動けない。実は不条理極まりない観応の擾乱も、尊氏と直義の関係だけをみるとシンプルに理解できるんだな。

Posted byブクログ