大国の掟 の商品レビュー
2016年に書かれた論考が今起こっているロシアのウクライナ侵攻を理解するために大いに参考になりその必然性すら感じさせられる。ということは、佐藤優はインテリジェンス専門家としてはなかなかの人であるということか。 国際情勢を読み解くために「歴史」のアナロジー的なものの見方と「地理」の...
2016年に書かれた論考が今起こっているロシアのウクライナ侵攻を理解するために大いに参考になりその必然性すら感じさせられる。ということは、佐藤優はインテリジェンス専門家としてはなかなかの人であるということか。 国際情勢を読み解くために「歴史」のアナロジー的なものの見方と「地理」の動かない要因(国家戦略に活用したものが地政学)を掛け合わせて思考すること。その教養を深めることが必須であるとして、唯一の具体例が「プーチンのユーラシア主義」であることに彼の分析予言能力の凄さを見た。 英米、独、露、中東、中国とそれぞれ明快に分析されている。反芻して頭にインプットしておくべきものと痛感する。
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主義思想が国に与えるチカラを大きな視点で捉えることができた。 変わらないものに目を向けると、見えてくる傾向がある。 五大国と同様に日本も大国としての振る舞い方を知りたいと思った
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英米、ドイツ、ロシア、中東、中国、などの各国の政治を地理と歴史を交えて考察した本。この本についてのある方の感想を聞いて興味が湧いて読みました。 作者の主張のうち、下記が印象的でした。 •アメリカの孤立主義は啓蒙思想から来ている、 •英米は海洋国家であり孤立主義を時として選ぶ傾...
英米、ドイツ、ロシア、中東、中国、などの各国の政治を地理と歴史を交えて考察した本。この本についてのある方の感想を聞いて興味が湧いて読みました。 作者の主張のうち、下記が印象的でした。 •アメリカの孤立主義は啓蒙思想から来ている、 •英米は海洋国家であり孤立主義を時として選ぶ傾向がある、 •ドイツはEU統合の利潤を享受してきたが、今後はその維持コストを払う局面に来ている、 •中東は、国境を認めないイスラム教の世界観を持つ。無理に国境を引く西洋システムではいつまでも解決が望めない、 •中国が南沙諸島を埋め立て岩を島にした行為に、日本は意見ができない。日本が沖ノ鳥島をコンクリートで固めて岩を島と主張する行為と同じだから。
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"海洋国家と大陸国家、シーパワーとランドパワー、歴史と民族、宗教と地理、これらを総合的に理解し、読み解けると国家の動きが読めてくる。 本書で学んだことは、イスラム教の奥深い宗派の数々やサイクス・ピコ協定から読み解く中東の国々などや、ロシアの考える緩衝地帯的な隣国との付き...
"海洋国家と大陸国家、シーパワーとランドパワー、歴史と民族、宗教と地理、これらを総合的に理解し、読み解けると国家の動きが読めてくる。 本書で学んだことは、イスラム教の奥深い宗派の数々やサイクス・ピコ協定から読み解く中東の国々などや、ロシアの考える緩衝地帯的な隣国との付き合い方など、知っている人には当然のことなのだろうが、なかなかここまできっちり学んだ人は少ないのではないか。地政学を学ぶ第一歩としての本としてもよいと思った。"
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著者は大変知名度が高い方ですので、皆さんご存知だと思います。複雑な世界情勢を読み解く上で、歴史と地理的条件を掛け合わせ、地政学的観点から考えることの重要さを説いています。 東ドイツ建国に際しての、ドイツ国民民主党に旧ナチ党員を取り込む寛容な政策をソ連がとったことが、今日の旧東独...
著者は大変知名度が高い方ですので、皆さんご存知だと思います。複雑な世界情勢を読み解く上で、歴史と地理的条件を掛け合わせ、地政学的観点から考えることの重要さを説いています。 東ドイツ建国に際しての、ドイツ国民民主党に旧ナチ党員を取り込む寛容な政策をソ連がとったことが、今日の旧東独におけるネオナチ運動の隆盛につながる、といった洞察や、メルケル首相が東独の社会主義統一党の青年組織に属していたことから、現在CDUの党首でありながらも、当時の価値観を保持しているだろう、といった考察、ロシアのユーラシア主義と旧東欧諸国のNATOへの取り込みがウクライナ問題の根底にあること、そしてサイクス・ピコ協定とISの問題、中国の海洋進出とキルギスの問題、アメリカやイギリスの孤立主義などなど。 著者は神学を修めた方だけに、宗教が国家間の関係に与える影響についても洞察が及んでおり、その観点の包括性に触れることにができるのもこの本の良いところだと思います。
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オーディオブックで読了。 2016年時点での地政学をざっと総覧するのに良い。 特に米国、中国、ロシアといった国々にとっての地政学を歴史と地理から読み解き、そこに中東・イスラム国への分析が入っており、これらの出来事の文脈を読み解くのに非常に役立つ。 ただし、このボリュームに広い...
オーディオブックで読了。 2016年時点での地政学をざっと総覧するのに良い。 特に米国、中国、ロシアといった国々にとっての地政学を歴史と地理から読み解き、そこに中東・イスラム国への分析が入っており、これらの出来事の文脈を読み解くのに非常に役立つ。 ただし、このボリュームに広い範囲を含んでいるので、歴史的背景への考察などもかなり限定的にならざるを得ない点は致し方ない。更にツッコんだことを知りたい場合は、本書に挙げられている文献にあたるのが良いのだろう。
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単一の国の歴史からは見えてこない背景が、 周辺の国の歴史(つまり世界史)と地政学をあわせることで浮かび上がってくる。 現代の世界情勢に大きな影響を及ぼしている、インターネットによるボーダーレス化、サイバー攻撃による脅威。そういった観点での佐藤氏の分析、考えを知りたいが本書では多少...
単一の国の歴史からは見えてこない背景が、 周辺の国の歴史(つまり世界史)と地政学をあわせることで浮かび上がってくる。 現代の世界情勢に大きな影響を及ぼしている、インターネットによるボーダーレス化、サイバー攻撃による脅威。そういった観点での佐藤氏の分析、考えを知りたいが本書では多少触れる程度で、その点はすこし残念。
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高校時代に学習した世界史と地理の記憶が薄れるなか、両者を有機的に結びつけた地政学の考え方が面白い。 個々の国が持ち続けていた地理的要因、宗教、思想を学ぶことで、大国のこの先の動きを分析することができる。 知的好奇心を満たす一冊である。
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国際情勢を地政学的視点から理解するための本。 中国が南沙諸島を埋め立て、自国の領土として批判が高まっている。しかし米国は付近を航行(無害通航権)したのみの、嫌がらせレベルの抗議をしただけ。これは停泊しなければ領海を否定したことにはならないから。 日本も中国のやり方を批判しただけ。...
国際情勢を地政学的視点から理解するための本。 中国が南沙諸島を埋め立て、自国の領土として批判が高まっている。しかし米国は付近を航行(無害通航権)したのみの、嫌がらせレベルの抗議をしただけ。これは停泊しなければ領海を否定したことにはならないから。 日本も中国のやり方を批判しただけ。これは日本も沖ノ鳥島(満潮時海面から16cm。周囲はコンクリートで護岸)を領土と主張しており、中国とやっていることが余り変わらないため。(日本政府が岩礁と認めている伊豆諸島の孀婦岩。これはなんと高さ99m、東西84m、南北56m。これが岩で沖ノ鳥島が島とされる)これでは中国に強い態度を取れない。 日本も米国も黙認状態では中国の海洋進出は勢いづくと思いきや、そうはならないと著者は言う。なぜなら中国の海軍力の弱さ(中国が空母を運用できるようになる頃には、無人機の時代となり、空母は時代遅れとなるらしい)とチベット方面の陸の地政学リスク(支配体制が揺らぐ位の)があるからと書かれている。 しかし中国は国産空母を今週進水させたし、どうも説得力がない。 著者の言うとおりになるのならば、少しはほっと出来るのだが・・・ 日本の明治維新は、米国の南北戦争があの時期に行われたから、上手く成し遂げられた。あと20年遅かったら、フィリピン的に米国の支配下に置かれたかもしれない。 その他いろいろ国際的な偶然が維新に作用していた。 明治維新は大変幸運な偶然により成し遂げられたのだなぁ。
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地理・経済・民族等々の要因を分けて考える理性・論理思考だけではダメ。物語(宗教)を理解する人間力が必要。人間は本質的に非合理。 国際情勢は時間軸(歴史)・地理的条件だけでなく、経済・文化・国家・民族・宗教様々な変数を複合して考えなければならず、しかも論理・合理・理性だけでなく、非...
地理・経済・民族等々の要因を分けて考える理性・論理思考だけではダメ。物語(宗教)を理解する人間力が必要。人間は本質的に非合理。 国際情勢は時間軸(歴史)・地理的条件だけでなく、経済・文化・国家・民族・宗教様々な変数を複合して考えなければならず、しかも論理・合理・理性だけでなく、非合理な側面も考慮しなければならない。一応大国について相応の分析はなされているが、あまりにも複雑すぎて今後日本がどうやって意思決定すればよいのかは本書には示されていない。著者の仕事でもないのだろうけど。 これまでの著作の中でもかなりデキがいいと思うが、あくまでも著者の独自の分析であって、どこまで正しいのかはわからない。類書をいくつか読まないとダメなのだろうが、新書レベルが限界で、専門書までは手が回らないな。 執筆時にはトランプ確定ではなかったようだが、2016年は「米英が孤立化の道を歩んだ」という大きなターニングポイントになるのかもしれない。あとは中国が戦前日本と全く同じ道を歩んでいるという認識は正しいと思う。
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