ムーンナイト 光 の商品レビュー
ムーンナイト。元傭兵の多重人格者。挙動不審で、頭の中ではいつもキャプテンアメリカとウルヴァリンとスパイダーマンが会話している。このデッドプールの偽物みたいなキャラクターを、シリアスに掘り下げたのが本作だ。 ムーンナイトは特別な力があるわけではないし、ガジェットもチープ。ウェブシ...
ムーンナイト。元傭兵の多重人格者。挙動不審で、頭の中ではいつもキャプテンアメリカとウルヴァリンとスパイダーマンが会話している。このデッドプールの偽物みたいなキャラクターを、シリアスに掘り下げたのが本作だ。 ムーンナイトは特別な力があるわけではないし、ガジェットもチープ。ウェブシューターやウルヴァリンの爪の偽物を、元シールズのC級エージェントに作らせるのが関の山だ。本作での敵はカウント・ネフェリア。大物ヴィランといっていいだろう。ムーンナイトは狂気のような使命感で、はるか格上のA級ヴィランに立ち向かっていく。 ムーンナイトは、自分の憧れたヒーロー(頭の中にいる3人)をまねた「ヒーローごっこ」を本気でやっている。それは、客観的に見れば頭がおかしい行為だ。意外なことに、彼はそのことに自覚的である。劇中で彼は「ヒーローって、みんないかれているんだ。そうでないと、こんなマスクを被って正義のために戦ってないだろ」という。ムーンナイトは狂っている自分を醒めた目で見て、自嘲しているのだ。その姿はいい歳をしてヒーローのコミックに夢中になっているぼくらの似姿でもある。本作がシリアスなトーンでありながら、どこかユーモラスでムーンナイトに親しみを覚えてしまうのは、そのせいなのかもしれない。
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精神を病んでいるビジランテ、ムーンナイトの西海岸でのほぼ単独の活躍を描いた一冊。スーツを着た自警団行為に病理を見出す、というヒーロー史における衝撃的な見解を形にしたようなキャラクターなので、本当に現代社会にこんなヒーローがいたらどんな扱いを受けるのか、なんてことを考えたりできる。...
精神を病んでいるビジランテ、ムーンナイトの西海岸でのほぼ単独の活躍を描いた一冊。スーツを着た自警団行為に病理を見出す、というヒーロー史における衝撃的な見解を形にしたようなキャラクターなので、本当に現代社会にこんなヒーローがいたらどんな扱いを受けるのか、なんてことを考えたりできる。病理の描き方がヒーローが精神世界で意見してくる、という形なので、そこが葛藤にもつながっていて非常に読みごたえがあった。 ただそのあたりが厄介、という描き方が中心になってしまうので、もう少し普通にヒーロー的な活躍、傭兵として良い部分も読みたかった気持ちもある。気持ちとしての善性は描かれているが、それだけでは物足りないか。敵のヴィランの格が高すぎるので少々描きにくいところかもしれないが、後編の影ではそういう処が読めるだろうか。
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