もみの木のねがい の商品レビュー
クリスマス絵本特集、その9。 ちいさなもみの木は、他の木の柔らかな葉っぱに憧れていて、「ぼくの はっぱは、どうして こんなに ちくちくとがって、はりみたいなんだろう」と、そのあまりの悲しさに涙が零れ落ちたとき、助けてくれたのは小さな妖精で、その願いを叶えてもらうものの、毎回...
クリスマス絵本特集、その9。 ちいさなもみの木は、他の木の柔らかな葉っぱに憧れていて、「ぼくの はっぱは、どうして こんなに ちくちくとがって、はりみたいなんだろう」と、そのあまりの悲しさに涙が零れ落ちたとき、助けてくれたのは小さな妖精で、その願いを叶えてもらうものの、毎回、様々な理由で葉っぱが無くなってしまう事態となり、最終的には・・というお話。 まず、私が目を惹かれたのは、こみねゆらさんの、その状況に合わせて、リトグラフ、色鉛筆、油彩、と描き分けた、美しくも異国情緒漂う切ない絵であり、その中でも印象的だったのは、やはり彼の心情を表した、線ではなく点で描いたような、もみの木であり、その隙間に漂わせる儚さには、何とも言えない気持ちにさせられたが、やがて、それが終盤の装飾された彼の晴れ姿を拡大した絵になると、まるで、それまでは見られなかった、彼の内に潜む活き活きとした生命力を感じさせる油彩で描いており、その違いに私は、もみの木の心の変化も表しているように思われた点に、改めて、もみの木も生きているのだということを、その絵から教えられたように感じられて、文章だけの表現とはまた違った、絵本ならではの良さである。 作家のエステル・ブライヤーと、再話のジャニィ・ニコルは母娘であり、どちらもシュタイナー教育に長年携わっているそうで、その教育法を調べてみたら、一人ひとりの個性を尊重し、個人の持つ能力を最大限に引き出す教育とのことで、そうした思いは本書にもよく表れており、最初もみの木は、自分の持っているものを、他人のそれと比較して悲しがっていたが、後々それは、自分だけにしかない、素敵な個性であることを実感していく過程に、どんな子どもの個性にもきっと花開くものがあると実感させられ、それは、本書の素朴で優しい緑色の表紙と、目にも鮮やかな黄色の見返しの対照性に感じられた、どちらも、もみの木にとって大切な個性なんだという、その装丁には、人間の表裏一体の奥深さを見るようでした。
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ちくちく尖った葉っぱだからこそ、毟り取られることがなく、クリスマスツリーにもなれました。確か「老子」にそれっぽい話があったような気がします。
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こみねゆらさんの挿絵がお話の優しい雰囲気によく合う。なりたい自分になることだけが全てではない。でも、自分本来の魅力に気づくには、時には背伸びをしたり、違う姿になることも必要なのかな。と思う。クリスマスツリーを囲む団らんの風景に心が安らぐ。
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[江東区図書館] 1年前に読んでいる、柔らかいとヤギに食べられ、銀だと子供らに取られ、金だと家族を養う男に取られてしまう。青い鳥は身近に的な、元がいいと教訓めいた内容も含んだ話。
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