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先生も知らない世界史 の商品レビュー

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2021/11/23

西洋経済史を専攻研究する大学教授が、視点を変えて視た歴史(人と経済)の動きを考察した新書版。覇権国家(ヘゲモニ-)としての存在感は、経済力と軍事力を前提として世界の頂点を目指してきた。近代世界は「未開拓の土地」が消失し、新しいマ-ケットでの利潤追求による経済成長が望めない。さらに...

西洋経済史を専攻研究する大学教授が、視点を変えて視た歴史(人と経済)の動きを考察した新書版。覇権国家(ヘゲモニ-)としての存在感は、経済力と軍事力を前提として世界の頂点を目指してきた。近代世界は「未開拓の土地」が消失し、新しいマ-ケットでの利潤追求による経済成長が望めない。さらにデジタル・メディアによる経済戦略と市場支配が、世界の経済システムを崩壊させつつある。もはや「ポスト・アメリカ」に代わる中核的国家は存在しないと、著者は結んでいる。

Posted byブクログ

2018/10/21

近代西欧史の専門家による、世界史トピック集。時代の順で述べられているため、近代世界史について新たな研究成果を含めて学習できるようになっている。著者の作品は今までにも何冊か読んだことがあるので既知の内容もあったが、理系の私にも興味深い項目が多かった。論理的で説得力があり、かつ読みや...

近代西欧史の専門家による、世界史トピック集。時代の順で述べられているため、近代世界史について新たな研究成果を含めて学習できるようになっている。著者の作品は今までにも何冊か読んだことがあるので既知の内容もあったが、理系の私にも興味深い項目が多かった。論理的で説得力があり、かつ読みやすかった。簡易に述べているようで内容は深く、勉強になった。 「地中海は、まずフェニキア人によって、ついでローマ人によって開発されました。私は、ローマ人よりもフェニキア人のほうが重要だったと考えています」p39 「(アッバース革命)アッバース朝になって、イスラーム王朝はさらなる飛躍を遂げます。正統カリフ時代とウマイヤ朝は、アラブ人のイスラーム王朝でしたが、アッバース朝は、アラブ人の王朝からイスラーム教徒による王朝へと変貌しました。アッバース朝の領土は、最盛期には、イベリア半島から中央アジアまで及ぶほど広大でした」p45 「(アッバース朝時代)ヨーロッパは、長期間にわたり、イスラーム勢力に対抗することができなかったのです」p46 「ヨーロッパがアジアよりも経済的に優位に立ったと言ってもよい時期は、おそらく18世紀後半のことでした」p54 「「アジアはヨーロッパよりも、有史以来ずっと遅れていた」それが長い間、歴史家に根ざした考え方でした。たとえばカール・マルクスは「アジア的生産様式」と言い、ヨーロッパが進歩するのに対し、アジアは全く変わらないという考えを表明しました。私たちは、このような考え方が、現在では時代遅れになっていると感じています」p73 「(欧米の比較による研究方式)かなり恣意的な比較にならざるを得ないように思われます」p77 「(欧米の比較による研究方式)欧米の歴史家は、比較というものが簡単にできると思いがちです。それは、彼らの歴史研究の大きな問題点だと考えます」p80 「重商主義時代(17世紀)とは、圧倒的に経済力があったオランダに対して、各国が保護政策をとった時代だとみなせるのです」p109 「オスマン帝国が、16世紀のスレイマン一世の治世下で最盛期を迎えたことはよく知られています。1529年にはオーストリアのウィーンを包囲して、もう少しで陥落させるところまで追い詰めました。この頃は、どう考えてもヨーロッパよりオスマン帝国の方が軍事的には強かったのです。おそらく、経済的にもそうだったでしょう」p122 「近代世界システムの特徴は、ウォーラーステインのいう「飽くなき利潤追求」にあります。しかし、持続的経済成長が可能であった時代は、もう終わりつつあるのです。近代世界システムは、終焉を迎えつつあるといってよいと思います」p222 「(貧富の格差)近代世界システムが、新しい利潤の源泉を、本来ならば労働者の手に入るはずの賃金に見いだしているからにほかならないように思われます」p225 「ときおり「ポスト・アメリカ」はどこかということが議論の対象となります。それは、近代世界システムが今後も存在するという前提での議論です。中核のない時代には、近代世界システムは存在できません。したがって「ポスト・アメリカ」はない、というのが、私の考えです」p227

Posted byブクログ

2017/12/01

イギリスは何故紅茶を好むのか。 興味があり手に取った。 東インド会社からの正規輸入品紅茶葉は高関税で、庶民には手に入らない。で、スウェーデン東インド会社や、フランスから密輸入された、安い茶葉を庶民は飲むことが出来た、とのこと。(スウェーデンもフランスもコーヒーを飲む国) しかしこ...

イギリスは何故紅茶を好むのか。 興味があり手に取った。 東インド会社からの正規輸入品紅茶葉は高関税で、庶民には手に入らない。で、スウェーデン東インド会社や、フランスから密輸入された、安い茶葉を庶民は飲むことが出来た、とのこと。(スウェーデンもフランスもコーヒーを飲む国) しかしこれはイギリス人の紅茶好きが、招いた結果に過ぎないのではないだろうか。

Posted byブクログ

2017/07/30

なるほどと思わせる記述がけっこうあって、そして他の学説への批判も面白く、良書。 ソフトな語り口で基本的には易しいのだけど、なんだろうなあ、ちょっと情報を詰め込みすぎの感があって、ところどころわかりにくかった。

Posted byブクログ

2017/02/25

会社の近くの書店に平積みにしてあった本を手に取ったのだけど、ちょっと失敗だったかもしれない。 まず、誤植の放置。英ファルマス-ニューヨーク間の帆船航海が1817年に107~122日であったと述べたのに続き、1825年にロンドン-リヴァプール間が55~65日と大幅に短縮したとある...

会社の近くの書店に平積みにしてあった本を手に取ったのだけど、ちょっと失敗だったかもしれない。 まず、誤植の放置。英ファルマス-ニューヨーク間の帆船航海が1817年に107~122日であったと述べたのに続き、1825年にロンドン-リヴァプール間が55~65日と大幅に短縮したとある。多分、リヴァプールではなくてニューヨークとかボストンとかの間違いなのだろうけど、明らかな校閲不足だ。 他にも、例えば、イギリスが1784年の減税法までは茶葉に高関税を課していた時代、インドの中国の茶葉はフランスやスウェーデンを経由して密輸されていた、というくだりでも、この主張の論拠となるブルターニュやアムステルダムの貿易計数が延々と出てくるのだけど、専門書ではないのだから文章は簡潔な方が良いし、計数は図表化した方がわかりやすい。 「先生も知らない」とトリビアを狙うあまり、強引に誰かの説を引いて批判を加えてたりするのだが、ロビンソン・クルーソーが奴隷貿易を背景にしているというのはどの本にも書いてあることだし、そもそも彼が無人島に漂着した黒人に対して自らを「マスター」と定義するところにその片鱗が現れている。 せめて、ちゃんと校閲してから出して欲しかった。

Posted byブクログ