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ロマ「ジプシー」と呼ばないで の商品レビュー

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2022/06/01

ジプシーという言葉は、日本ではめったに報道されることがない。と思ったら、いわゆる放送禁止用語にもなっているようだ。 ではロマが報じられるかというと、それもまずない。日本に暮らしていると、多少外国人と触れ合う程度、ということが日常で、どうしても民族問題に思い至ることが少ない。だが...

ジプシーという言葉は、日本ではめったに報道されることがない。と思ったら、いわゆる放送禁止用語にもなっているようだ。 ではロマが報じられるかというと、それもまずない。日本に暮らしていると、多少外国人と触れ合う程度、ということが日常で、どうしても民族問題に思い至ることが少ない。だがヨーロッパの人たちの多くは、幼いころに「ジプシーが子どもをさらっていく」などと聞かされて育ってきたのだ。 本書は、ジプシーと呼ばれ、人さらいをするなどと蔑まれたロマの古今について伝える本。 ロマがどのように偏見を持たれてきたか。当事者の話も多くて、読むと結構嫌な気持ちになる。日本であえて近いところを探すなら部落差別があるが、しかしロマはナチによる弾圧を受けたりと、やはりゲンナリする。 数百年つづいてきたロマ差別も、1971年に世界ロマ会議が開催され、当事者が声をあげるようになって解決にむかっていった…というのは現実ではなくて、20世紀末から21世紀になってロマ差別はむしろ加速している。ロマの集落に壁が建てられたり、襲撃や放火、子どもの分離教育など。 ここまで来ると、ようやく近年の排外主義ということで、間接的ではあるが、少し身近な問題に感じられる。どうして違うものを排除しようとするのか。僕はそういう気持ちは少ない方だと思うのだけど、人類がこれだけ長い間解決しないということは、何か根源的な問題があるのかもしれない。そういう問題に比べると、自分が面している問題など小さいことで、小さいからいいやと放り投げたくなるが、そうもいかない。世界は広くなんと自分は小さく弱いことか。ためになりました。

Posted byブクログ