妖精の女王 2巻セット の商品レビュー
訳のリズムが良い! 参考までに第三巻第二篇26節 「乙女(ブリトマート)はその人(鏡に映った運命の人) 確と見て 好きになったがそれだけで その場去り、無邪気な年齢で 鏡の底に身の不幸 隠されてるとは気づかない、 気付かぬ傷が命取り、 気付かれぬよう射た射手は その痛ましい傷...
訳のリズムが良い! 参考までに第三巻第二篇26節 「乙女(ブリトマート)はその人(鏡に映った運命の人) 確と見て 好きになったがそれだけで その場去り、無邪気な年齢で 鏡の底に身の不幸 隠されてるとは気づかない、 気付かぬ傷が命取り、 気付かれぬよう射た射手は その痛ましい傷にさえ 気づかぬ姫ににやりにんまり。 以後前立の羽根飾り 恋に乱れて低く垂れ 王女の威厳 物腰は 見る影も無く影ひそめ 気むずかしくて気もそぞろ、 どういうわけでこうなのか 何の病かおかしいと 愚か乙女は思うけど 恋とは知らず気鬱と決める。 青白い夜の帳が 美空の光かき消して 世の展望を取り去るや 乙女は乳母と寝につくが、 眠気は遠く逃げ去って、 代りに悲哀 溜息が そばに控えて寝ずの番 悲歎に浸り姫君は 流す涙で寝具を濡らす。 たとえ眠りが少しでも 疲れた胸に兆しても 心掛かりがあるために すぐさま夢や恐ろしい 幻などにうなされて 悪鬼にひるむ者のよう ベッドにしばしば飛び起きて、 胸のうずきを新たにし 胸に焼き付く面影思う。 恋患いの夜は長し。 時には勝手な空想で 胸の痛みを紛らすが、 痛みはいっそう増すばかり 傷がますます食い込んで 死ぬほか苦悩終わるまい、 そこで休まず息継がず 津々浦々を探索し 目隠し客(キューピッド)に導かれ ついに浜辺に向けて進んだ。 『荒れ狂う悲歎の海よ 安らぎの港は遠く わが小舟 木の葉同然 なぜ大波は強烈に 打ち重なって打ち寄せて いのち飲もうと脅すのか? 激しい怒り悪意など もう止めにして胸中の 荒れる嵐を鎮めておくれ。 そうでなければわが舟は 疾風怒濤に痛められ 耐え切れなくて暗礁か 浅瀬で難破するばかり 恋が舵取り運が漕ぐ、 恋の案内浮足で 運の水夫は航路知らず 潮風読まず星も見ず 両者手探り ほかに手は無い。』」
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