軍神ちゃんとよばないで(3) の商品レビュー

柳原満月(著者)

2016/12/07

『雪花の虎』とレベルが違う、と厳しい意見はある
確かに、作品の完成度で言えば負けてる。と言うより、作品形式が違うのだから、真っ当な勝負になる訳がない
台詞やシーンで心に深く突き刺さるって意味では、『雪花の虎』が勝っているが、全体的な流れを分かりやすく解説し、歴史に興味を持たせるパワーでは互角、いや、劣っていまい
可愛い系の絵柄もあるが、虎千代が、なるべく楽な楽な方に転がりたがるダラケ姫ってのは大きい。きっと、そこが読み手に共感を抱かせるんだろう。だから、（３）まで出るし、質も落ちず、しばらく続きそうな予感を持たせてくれる
また、『雪花の虎』と同様に、弥太郎がイイ味を出しているのも魅力の一つ
イケメンっぷり、腕っぷし、虎千代の忠誠心、どこも負けていない。ついでに言えば、微妙に残念なトコもどっこいどっこいで愛嬌を感じる
この（３）でも、虎千代は運に愛されている。最早、神がかってる、と言っても過言じゃない
しかし、イイ事があれば、悪い事もある、それで人生は釣り合うように出来ている。軍神と呼ばれていても、虎千代は人の子なので、その絶対的なルールからは逃れられない
トントン拍子に戦に勝ち、尊敬を集めていく一方で、虎千代は最愛の兄・晴景と永遠の別れを経験する
失意に暮れる虎千代だが、時代の流れは、むしろ、晴景の死により加速し、彼女を更なる前線へ押していく。当然、彼女は目立ち、余計に働かされるのを拒むのだが、時勢は待ったなし
姉夫婦や村上正清を仲間にし、着実に、虎千代は越後を治めるに値する器と周囲の猛者から認められていく
いっそ直々に断ろうと企み、将軍・足利義輝のいる京に来た虎千代を待ち構えているトラブルとは・・・・・・
この（３）の見所は何と言っても、虎千代と武田信玄の初邂逅だろう
上杉謙信が、中身はともあれ、美少女だからこそ成立する状況だ
お互いに好印象を抱いたようだが、これから、何度も血を血で洗う敵となるとは、この時点では当然、知らない
二人はまた、出会うのか、真実を知った時、受け止められるのか、何より、弥太郎も加わっての、ラブコメのお約束、三角関係に発展するのか、楽しみだ
この台詞を引用に選んだのは、虎千代らしい迷言だな、と唸らされたので。ろくでもないコトバに聞こえるが、意外に大成するコツが含まれているのではないか。何もしなければ、楽は出来ない。大変なことを後回しにしたって、大変になるだけ。なら、やる気が続くうちに片付ける方がイイに決まっている