宮沢賢治童話全集 新装版(11) の商品レビュー
小学2年生だったか、「雨ニモマケズ」を暗記する宿題があったのが、宮沢賢治作品を読むきっかけとなった。その後全集(の一部?)を読んだはずだが、以来あまり彼の作品を読んだ記憶がない。 そんななか、柚月裕子さんの「風に立つ」の中に、宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」が出ていて、気になっ...
小学2年生だったか、「雨ニモマケズ」を暗記する宿題があったのが、宮沢賢治作品を読むきっかけとなった。その後全集(の一部?)を読んだはずだが、以来あまり彼の作品を読んだ記憶がない。 そんななか、柚月裕子さんの「風に立つ」の中に、宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」が出ていて、気になって図書館から借りた。 グスコーブドリの伝記 北の森に住むブドリ一家の楽しい生活からはじまり、特にブドリとネリ兄妹の遊ぶ描写は美しい。しかしたちまち冷害、飢饉のあおりをくって一家離散の悲しい運命におとされ、働いていたテグスとりも火山の爆発によって無になり、ブドリは自分の運命を切り拓くために平野へ出て行く。それからのブドリは働き、学び、科学者として成長してゆく。ブドリの生の意味は、一家や多くの農民を不幸におとした自然の暴威からどのように対応し生命を守れるか、 科学的に実証することにある。 そしてブドリが大人になって再び冷害が起きそうになったとき、自分を犠牲にして火山を噴火させて炭酸ガスを吹き出させ冷害を食い止めた。 岩手県は山背が冷害を引き起こすことがあり、まさに「サムサノナツハオロオロ歩き」なのだ。 雁の童子 タクラマカン砂漠の南の地が舞台。そこに須利耶圭という徳の厚い人がおり、ある日いとこが鉄砲で空とぶ六羽の雁をうち五羽は炎につつまれたが、最後の一羽だけ無事で、それはかわいらしい天の子どもだった。これが雁の童子。 何やら仏の教えを説いているような不思議な作品。 銀河鉄道の夜 宮沢賢治の代表作の一つ。この作は賢治が病床の身で、死の最後まで手入れを行ったものの未完成に終わったと言う。訂正は4回行われ、書きこみや削除が縦横にあって読みとりには苦労したらしい。 気弱で孤独な少年ジョバンニと親友のカムパネルラが銀河鉄道で天の川に沿って南十字へと向かう銀河の旅の物語。 すごい発想力と表現力。 賢治の研ぎ澄まされた感性を感じる。 花巻の宮沢賢治記念館に行ったことがあるが、彼は科学にも造詣が深かったことがわかった。なるほど、そこここに片鱗が垣間見える。
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新装版ではない方で、市立図書館にて。 グスコーブドリの伝記/雁の童子/銀河鉄道の夜 グスコーブドリの伝記を読みたくて。 読んでみると、銀河鉄道の夜の方に強く惹かれた。 恥ずかしながら、この年齢になって初めてきちんと向き合って読んだ。 ジョバンニの寂しさにとても共感する。共鳴と...
新装版ではない方で、市立図書館にて。 グスコーブドリの伝記/雁の童子/銀河鉄道の夜 グスコーブドリの伝記を読みたくて。 読んでみると、銀河鉄道の夜の方に強く惹かれた。 恥ずかしながら、この年齢になって初めてきちんと向き合って読んだ。 ジョバンニの寂しさにとても共感する。共鳴と言ってもいい。この寂しさ知ってる、そんな感じ。 そこから掬い上げてくれたのは夫だ。掬い上げて、普通の世界を見せてくれた。 フレーズに記すジョバンニとカムパネルラの言葉が心に残る。
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宮沢賢治の作品はどこか物悲しく、そら恐ろしかったりするので、世間では大変評価されているにもかかわらず、私はちょっと苦手で大して読んだことがなかった。 「銀河鉄道の夜」も子どもの頃に読んだ記憶があるが、登場人物の名前に馴染めなかったのと、場面の想像が難しかったのとで内容がほとんど入...
宮沢賢治の作品はどこか物悲しく、そら恐ろしかったりするので、世間では大変評価されているにもかかわらず、私はちょっと苦手で大して読んだことがなかった。 「銀河鉄道の夜」も子どもの頃に読んだ記憶があるが、登場人物の名前に馴染めなかったのと、場面の想像が難しかったのとで内容がほとんど入ってこなかった。未完の作品だと知り、そういったこともあってなのかと納得した。 他に収録されている話は読みやすく、どの作品も根底に宗教的、倫理的なものが流れているのを感じる。2018.8.17
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実は宮沢賢治を一度も読んで事がない。少しづつこの全集を読破しようと思う。「グスコーブドリの伝記」「鴈の童子」「銀河鉄道の夜」収録。「銀河」は別途文庫でも買おうと思う。未完な上に、色々と興味深い作品だったので。
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