夜行 の商品レビュー
【短評】 「鞍馬の火祭」の最中、一人の女性が忽然と姿を消した。 十年後、再び京都に集った嘗ての仲間たちは、誰ともなく、ぽつりぽつりと不可思議な旅の思い出を語る。奇妙で幽玄で曖昧模糊とした「思い出」に確かに共通する要素は、早逝した銅版画家・岸田道生(きしだみちお)による連作銅版画「...
【短評】 「鞍馬の火祭」の最中、一人の女性が忽然と姿を消した。 十年後、再び京都に集った嘗ての仲間たちは、誰ともなく、ぽつりぽつりと不可思議な旅の思い出を語る。奇妙で幽玄で曖昧模糊とした「思い出」に確かに共通する要素は、早逝した銅版画家・岸田道生(きしだみちお)による連作銅版画「夜行」だった。 「夜行列車の夜行か、あるいは百鬼夜行の夜行かもしれません」 阿呆大学生の物語と並行して綴られる幻想文学的な方の森見登美彦である。 考えれば考えるほどに良く分からなくなる類の一冊。一昔前の若い時分ならば、こういう奇妙な物語に雰囲気からして高得点を付けていた気がするが、最近は分からんものは分からんと思うようになった。老成なのか耄碌なのか、私には分からない。 由来は分からないが、読んでいて少し悲しい気持ちになった。 それが、底深い夜に灯る燈によるものなのか、闇を軋る電車の音によるものなのか、儚い空気を纏った少女によるものなのか、今以て判然としない。 『押絵と旅する男』を例に上げるまでもなく、不思議な絵というものは物語を匂い立たせるものである。モチーフは嫌いではない。各話に漂う不穏な空気とバニシングに関する静かな恐怖感はなかなかのものだった。バチンと切れる結末の余韻もなかなかに上手い。他方「結局どういう話だったのだろう?」という疑問符は消えない。幻想文学であるからして、仔細を言葉にする必要はないと思うが、断片的に語られる描写が分かりにくすぎて、想像を拡げる邪魔をしている気がした。 ちょっと辛口になってしまったが、静謐で奇怪な物語には確かな誘引力がある。 こっち系の森見は口に合わないことが多いが、不思議と読み進められる力があった。 【気に入った点】 ●夜の旅情のようなものが良く描けていると思う。ポツポツと灯る燈の寂しい温かさや冷たい空気のなかに響く電車の音など、想像するだに美しい。作品世界に飛び込むのが、心地良いような、ちょっと怖いような不思議な感覚だった。 ●山椒魚の様な顔色、とか。時折現れる森見的な比喩が好きである。遊び心溢れる奥ゆかしく可愛らしい文章がどうしても印象に残る。どうにもこっち系の森見は、そうした「らしさ」を棄却してしまう傾向にあると思うが、それらを融合させることを読者は望んでいるように思う。 【気になった点】 ●飽くまで個人的な見解だが、幻想文学は全部が「幻想的」ではいけないと思う。鮮烈なイメージの連続のみで構成された文章は、脳内で物語を紡ぎにくい。本作もイメージや思わせぶりな台詞が先行して、登場人物が何を言っているのか良くわかならない箇所が多かった。確固とした本線が合ってこそ、車窓の景色を堪能できるというものだ。 幻想的にしようと平素の遊び心を捨ててしまったのが、やはり惜しい。 「走れメロス」等では奏功していたのだから、出来る筈だ。非凡な空気感を纏うことは出来ていると思う。右か左かに振るのではなく、両者が和合した素敵なダークを私は待ち望んでいる。
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ホラーっぽい感じもあるけれど、わたしの中ではこれはファンタジーかなと思いました。 夜行という銅版画の連作にまつわるそれぞれのエピソード?思い出?がどれも不気味でよかった。 だけどほんとうにあったことなのか夢の中のことなのかは曖昧な感じ。 結果としてはこちらの世界とあちらの世界(と...
ホラーっぽい感じもあるけれど、わたしの中ではこれはファンタジーかなと思いました。 夜行という銅版画の連作にまつわるそれぞれのエピソード?思い出?がどれも不気味でよかった。 だけどほんとうにあったことなのか夢の中のことなのかは曖昧な感じ。 結果としてはこちらの世界とあちらの世界(と言ってもどっちがいいとか悪いとかでは無い)のパラレルワールド的な事なのかな。 いまこの現実(と思っていること)がほんとうに現実なのか不安にさせられるような不思議な読書体験でした。
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もうこわいんだもの… 表裏なんだけども分裂したままそしてすすむのかね 世界は岸田がつくり大橋と長谷川で分かたれたのかね 銅版画の凹凸の世界か 銅版と紙との対比なのか でも夜 大橋が全然気が付かず10年暮らしていたのなら、別世界は今の世界とシームレスに繋がってることになる ...
もうこわいんだもの… 表裏なんだけども分裂したままそしてすすむのかね 世界は岸田がつくり大橋と長谷川で分かたれたのかね 銅版画の凹凸の世界か 銅版と紙との対比なのか でも夜 大橋が全然気が付かず10年暮らしていたのなら、別世界は今の世界とシームレスに繋がってることになる 以下銅版画の作り方を読んでいくと、どっちが表なのか裏なのか、てかどっちも本体になれるんじゃ??とか考え込んでしまう https://sudohoko.com/copper-engravingetching/ あと雪がすごいならアスファルトの道路も全て雪で埋まるし、五所川原から三内丸山までもそんな早くは行かれないなとは思う津軽 ただそれもこの不可思議な話の材料ならそういう考え方もある
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読んでも読んでも理解できない。手が届きそうなのに、掴もうとするとするりと逃げていく感じ。まるでモリミ―が描く女性のよう。理解できないからこそ、惹きつけられるのか?きっとこの本はこれから先、何度も読み返してしまうのだろう。見慣れた世界がふと見知らぬものに変わる瞬間。信じていた世界が...
読んでも読んでも理解できない。手が届きそうなのに、掴もうとするとするりと逃げていく感じ。まるでモリミ―が描く女性のよう。理解できないからこそ、惹きつけられるのか?きっとこの本はこれから先、何度も読み返してしまうのだろう。見慣れた世界がふと見知らぬものに変わる瞬間。信じていた世界がぐらつく感じ。身に覚えがあるから、非現実的な話なのに、どこかリアリティーがある。曙光の世界は手が届かない女性に魅せられた男達が、願いを成就させようと世界を歪めた結果なのかな?その世界は歪で不穏で、でもどこか物悲しい美しさがあった。
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情景が素敵さもあり不気味さもあって、文章力すごと思った。 尾道や奥飛騨、津軽、天竜峡、鞍馬、どれも行ってみたい。夜行列車乗って旅館に泊まって温泉入りたい。
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どこまでも広がる森見登美彦先生の空想の世界に私もお邪魔させてもらったような気分になる作品。 熱帯やきつねのはなしのときも不思議な気持ちになった。
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今作品は、「きつねのはなし」から10年ぶりに出された怪談連作とのことですが、「きつね〜」に比べるとややファンタジー寄りなのかなと感じました。 また、両作品の繋がりがちょっとみられたりする箇所もあるので、続けて読むのが個人的にはおすすめです。 不思議な話の余韻がたまらなく好きな人に...
今作品は、「きつねのはなし」から10年ぶりに出された怪談連作とのことですが、「きつね〜」に比べるとややファンタジー寄りなのかなと感じました。 また、両作品の繋がりがちょっとみられたりする箇所もあるので、続けて読むのが個人的にはおすすめです。 不思議な話の余韻がたまらなく好きな人には、とても楽しめる作品だと思います。
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各章の繋がりがスムーズでないので、少し読みづらなかったです。最後の最後で、猛スピードで伏線回収があります。こういう風に、昼と夜の世界があるかも?と読み終わってから想像をしてみるのは楽しかったです。少し暗い雰囲気なので、個人的にはあまり合わなかったかな。
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初森見やったけど、 序盤から掴みどころがなく すぐに眠気が襲ってきたので 読むのをやめました。 伏線張ってます!感が強いけど、 主題が分からないじゃ 引き込まれない
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★★★☆☆怖かった。第1章のラストでゾクッとした。夜中に読んでることを後悔するほど怖い。著者は夜は短し歩けよ乙女のイメージしかなかったので以外なようにも感じた。世界はつねに夜なのよ。夜行と曙光。
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