翻訳のダイナミズム の商品レビュー
ヨーロッパからアラビア、そして日本において、書物の翻訳を通して知恵が伝搬する流れを、古代から現代に渡って、一人の著者の案内もとに俯瞰できる本。特に明治期に成立した、科学技術を論述するのに耐えうる日本語の成立過程が、80ページ以上にかけて書かれており、興味をひいた。 古代ギリシャ...
ヨーロッパからアラビア、そして日本において、書物の翻訳を通して知恵が伝搬する流れを、古代から現代に渡って、一人の著者の案内もとに俯瞰できる本。特に明治期に成立した、科学技術を論述するのに耐えうる日本語の成立過程が、80ページ以上にかけて書かれており、興味をひいた。 古代ギリシャの知恵が中世のラテン世界に戻ったという、私にとっては世界史的な事実の記憶でしかなかった事の「なぜ」や「どのように」を、この本によって納得できる知識とすることができた。 今日では英語が世界的な共通言語化したことにより、翻訳を通して自国語が言語的にバージョンアップする機会が少なくなっている。このことが、様々な文化から生み出される英知を減少させ、この時代の閉塞感を招いているのかもしれないと、勝手に考えた。
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