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権力者たち の商品レビュー

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2012/03/04

30年くらゐ前でせうか、日本でもアーサー・ヘイリーのちよつとしたブウムが起りました。 日本の読者に対し、ヘイリーは「私の作品が日本で歓迎されるのは当然」とコメントしたことがあります。これを読んだ友人のMくん、「何と思ひ上つた奴め!」と怒り、あらうことかわたくしの蔵書『最後の診断』...

30年くらゐ前でせうか、日本でもアーサー・ヘイリーのちよつとしたブウムが起りました。 日本の読者に対し、ヘイリーは「私の作品が日本で歓迎されるのは当然」とコメントしたことがあります。これを読んだ友人のMくん、「何と思ひ上つた奴め!」と怒り、あらうことかわたくしの蔵書『最後の診断』を蹴飛ばしたのであります。 もつともヘイリーの真意は、経済成長著しい日本では、経済に対する関心が高いので自分の作品も読まれるのであらうといふ程度のものらしい。 ごく乱暴にいふと、アーサー・ヘイリーの作品は古い物ほど面白いと申せませう。 本書『権力者たち』は第2作目(共著を除く)で、その法則どおり引き締まつた構成で読者を飽きさせません。 ところが日本に翻訳紹介されたのは最も遅い方に属します。『マネーチェンジャーズ』や『自動車』が紹介されても、本書は『高きところにて』の仮邦題(原題が“In High Places”ゆゑ)で、その存在はファンの間で知られてゐましたが、なかなか翻訳されなかつたのであります。 その理由につきましては翻訳者の永井淳氏が解説してゐるので読んでみてください。 東西が対立し緊張してゐた時代の物語なので、今読むとピンとこないかも知れません。第三次世界大戦の恐怖が現実味を帯びてゐた頃の話です。 カナダ首相ジェームズ・ハウデンがソ連の脅威に対抗するために、政治生命を賭けて「統合法」の成立に邁進します。はて「統合法」とは一体...? 同時にカナダが抱へる移民問題も提示されてゐました。密航者アンリ・デュバルをカナダに入国させるために奔走する若き弁護士アラン・メイトランドの活躍が光ります。 いつたん物語の中へ入れば、緊迫感のある展開に引き込まれることでせう。ちと古いけれど、入手は何とかできる筈であります... http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11181228684.html

Posted byブクログ