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キャリア開発論 の商品レビュー

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2021/03/13

キャリア論とかキャリア開発と呼ばれている分野は、経営学・組織行動論の一分野として成立している。筆者は大学の教授であり、本書は、キャリア論・キャリア開発について学ぼうとする大学生、大学院生を対象に書かれた、キャリア論という学問分野に関する入門書だ。 最近、日本的な雇用をメンバーシ...

キャリア論とかキャリア開発と呼ばれている分野は、経営学・組織行動論の一分野として成立している。筆者は大学の教授であり、本書は、キャリア論・キャリア開発について学ぼうとする大学生、大学院生を対象に書かれた、キャリア論という学問分野に関する入門書だ。 最近、日本的な雇用をメンバーシップ型雇用と呼び、諸外国で一般的なジョブ型雇用と比較する議論が盛んで、新聞や雑誌でも、よく取り上げられる。 新卒一括採用、終身雇用、年功序列的な処遇などが、日本的な雇用の特徴とされる。育成は時間をかけて、企業内で色々な職場や職務をローテーションで経験しながらなされる。雇用保証に重点が置かれること、社内ローテーションが、育成の大きな手段であることから、人事配置は、会社の側が決める、要するにキャリア決定の主体は企業側にあるという考え方が、日本的雇用の中では一般的であった。 ところが、経営環境が激変した。電機メーカーの例を見るまでもなく、業種によっては、グローバルな競争の中で、日本企業は、長期的に存続すら確かでない状況になり、終身雇用を雇用の基本に置くことが、実態として難しい時代になってしまった。 そういった中、働く個人にとっては、キャリアの主導権を会社組織に渡して雇用保証を期待するのではなく、世の中に通用する専門能力を身につけて、自律的にキャリアを考えていくことが大事であると言われるようになっている。 また、働き手も日本的な雇用が想定していた、新卒男子から大きく変わった。優秀な女性がビジネスの場でも活躍するようになったり、キャリア採用が増えたり、定年年齢が延びたり、外国人が入って来たりしている。 キャリア論を考える、本書でのもう一つの視点は、多様性である。 仕事の担い手の外形的な多様性ばかりではなく、個人の意識・事情も多様になってきている。 そういった中でのキャリアを考えてみることも、本書のテーマである。 キャリアにまつわる基本的な論点が分かりやすくまとまっている。 入門書としては、好適だと思う。

Posted byブクログ