女のいない男たち の商品レビュー
短編集としては「レキシントンの幽霊」「神の子どもたちはみな踊る」に続いて3作目になる。ストーリーの面白さや完成度、メタファーの「切れ」はこちらがはるかに優れていたと感じる。村上らしい完成度の高い短編集。メタファーを堪能した。 長編の「世界の終わり」や「ねじまき鳥」、「ノルウェイの...
短編集としては「レキシントンの幽霊」「神の子どもたちはみな踊る」に続いて3作目になる。ストーリーの面白さや完成度、メタファーの「切れ」はこちらがはるかに優れていたと感じる。村上らしい完成度の高い短編集。メタファーを堪能した。 長編の「世界の終わり」や「ねじまき鳥」、「ノルウェイの森」「海辺のカフカ」などと通じる「共通点」のようなものを随所に想起した。どこがと言われると具体的にとりあげるのはなかなか難しいのだけれども。
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村上氏の本はあまり読んだことがなかった。 その過去に少し後悔しつつ、これからたくさんの村上春樹に出会えることに悦びを覚えた。 この短編集は少し神話的側面もありつつ、共感できるようなできないような曖昧な感情の表現が上手くて、簡単な言葉を使うと『洒落てる』といった印象だった。
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アカデミー賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」収録の短編集ということでハルキストではない私でも興味深く手に取った作品 読み始めて数分で、いつの間にか独特の世界観にするすると滑り込み没入感を感じさせる筆力は流石だった。なかなか目にしない「まえがき」からも作者らしさがびんびんと伝わ...
アカデミー賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」収録の短編集ということでハルキストではない私でも興味深く手に取った作品 読み始めて数分で、いつの間にか独特の世界観にするすると滑り込み没入感を感じさせる筆力は流石だった。なかなか目にしない「まえがき」からも作者らしさがびんびんと伝わって来た。 6編の短編はいずれも“女が去って行った”或いは“女のもとを去って行った”男のお話で、無機質で空虚な心理描写が際立っていた。確かに女性の場合だと必ずしもこうはならないよなぁと捉え方の違いが興味深い。 そして殆どの作品が突然に幕引きとなる。 明確な結末が用意されていないのが、良くも悪くも村上春樹さんなのだろう。 場所や設定や人物までも、全て仮想なのか?いや暗喩か?と多角的に捉えようと試みても答えがフワフワと掴みどころがない。 でも独特の文体で、選ばれた言葉が織りなす世界観、空気感が、深い森の中にいるようで心地よく中毒性を感じる方もいるだろう。 読者が想像し自分なりの理解と結末で余韻を楽しむ作品なので好き嫌いは分かれるだろうが、短編でこれ程の奥行きの深さを魅せられるのは素晴らしいと思った。 収録作品は下記6編 ★は個人的に特に印象的だった作品 「ドライブ・マイ・カー」 亡くなった妻の不倫相手に近づき、妻への理解を深めようと試みる男の話。若い女性の専属ドライバー相手にその回想話を繰り広げていく設定だが、これを長編の映画にしてアカデミー受賞なのだから、間違いなく監督の意欲作なのだろう。 「イエスタデイ」 幼馴染と交際しているにも関わらず、浪人中に自分の友人に彼女との付き合いを勧める男の話。この主人公の木樽が良いキャラで際立っていた。 6編中では一番読みやすいお話だと思う。 「独立器官」★ 独身貴族を謳歌し、複数の女性とスマートに同時交際をしていた52歳の美容整形外科医師が、ある女性に本気になってしまったお話。タイトルのネーミングセンスが抜群。 「シェエラザード」 “ハウス”に籠っていなくてはならない男と彼の元を訪れる専業主婦のお話。彼女の前世と、彼女が少女時代に恋した少年の家に侵入を繰り返した過去を語るお話。 「木野」★ 妻の浮気現場に直面しそのまま家を出て離職し新たにバーを始めた男が主人公で、傷付き哀しむべき時にそれが出来なかった男の心が辿り着いた先のお話。 「女のいない男たち」 自死の道を選んだ元彼女が3人もいる男の話。その3人目の知らせは元彼女の夫より夜中に連絡を受けて唐突に知ることとなるのだが彼はどう受け止めるのか。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
村上春樹はなんでこんなにセックスの話をするんだろう。 でも登場人物たちの話にはいつも惹かれる。何を言っているのかわからないんだけどなにかすごく大事な事を言っている気がする。頭がぼーっとするまで惹き込まれた時に、いつも唐突に誰と寝たかを話しだす。もっと詳しく教えてほしいところは朧気なまま、セックスの話は丁寧に話し出す。現実に戻される。降りるべき駅で降りられる。その感覚はクセになる。 「木野」「独立器官」が好き。恋煩いで死んだ男に対して羨ましさが入り混じってしまう。
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発売後すぐ読んで以来の再読。 改めて感じたのは、言葉のチョイスがとにかくおしゃれ。 独特の美しく紡がれる言葉たちは、正直良くわからない。理解したいと思って、息を止めて、ぐっと飲み込んでみても、わかるようでやっぱりわからない。でもわからない中に不快さはなく、不思議な心地よさがある...
発売後すぐ読んで以来の再読。 改めて感じたのは、言葉のチョイスがとにかくおしゃれ。 独特の美しく紡がれる言葉たちは、正直良くわからない。理解したいと思って、息を止めて、ぐっと飲み込んでみても、わかるようでやっぱりわからない。でもわからない中に不快さはなく、不思議な心地よさがある。 きっと数年後にまた読み返すだろう。
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ドライブ・マイ・カーを呼んでみたかった。 映画は見ていない。 いやはや女性の運転という切り取り方が秀逸すぎて。共感と何かが起こりそうな少しの特殊性。村上さんらしさがたまりません。 短編のため、詳しく掘り下げることもなく推測する部分が多く、さすがにわからなすぎる・・・(いや 村...
ドライブ・マイ・カーを呼んでみたかった。 映画は見ていない。 いやはや女性の運転という切り取り方が秀逸すぎて。共感と何かが起こりそうな少しの特殊性。村上さんらしさがたまりません。 短編のため、詳しく掘り下げることもなく推測する部分が多く、さすがにわからなすぎる・・・(いや 村上さんの作品はいつもわかっているとは言えないんだけどさ)
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村上春樹氏 どうにもこうにも仲良くなれない。 共感できない。 と10代の頃には既に離れていた作家さん。 この度恐る恐る手に取ってみた。 短編集だったのでまあ読めた。 独立器官と木野は好きな方だった。 メンタル荒れ狂ってる話でした。 まあでもやっぱり何言ってんだ? の話も多かった...
村上春樹氏 どうにもこうにも仲良くなれない。 共感できない。 と10代の頃には既に離れていた作家さん。 この度恐る恐る手に取ってみた。 短編集だったのでまあ読めた。 独立器官と木野は好きな方だった。 メンタル荒れ狂ってる話でした。 まあでもやっぱり何言ってんだ? の話も多かったけど 理解できた話もあったので 10代の頃より共感力があがったのかな笑
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バーでカクテルを飲みながら聞く話のような、お洒落な短編集。誰かの決定的な過失などではなく、必然のことのように女が去ってしまう。男女が一緒にいられる理由は、愛だけではないのだよ、と言われている気がした。
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空想と現実の狭間を旅しているようだった。 読んでいて何かの答えに導かれていると思ったら何の答えもないような。 不思議で心地良い読後感だった。
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