曽野綾子自伝 の商品レビュー
入門 曽野綾子図鑑、あるいは、列伝「曽野綾子」といった体で、写真つきで、大変わかりやすい、著書を理解するためのガイドブック。 それを自分で出してしまうところがおもしろい。皇太后と友達であることや、ヨハネパウロⅡとの謁見。誇らしい自分自慢なのですが、嫌みになっていません。 また、父...
入門 曽野綾子図鑑、あるいは、列伝「曽野綾子」といった体で、写真つきで、大変わかりやすい、著書を理解するためのガイドブック。 それを自分で出してしまうところがおもしろい。皇太后と友達であることや、ヨハネパウロⅡとの謁見。誇らしい自分自慢なのですが、嫌みになっていません。 また、父と夫との対比が、彼女の中に軸としてあって、時折、逆説的な形容をかいまみせる言葉に、夫への愛情を感じました。 気になったことは、次です。 ・父は家の外では愛想もよく、偉ぶってもいない。「お父さんは気さくでいい方ねえ」と言われる。だから、私は、人の見かけは一切信じなくなりました。 ・父は時々暴力をふるったので、結婚生活が苦しかった母を何があっても障害一人で生きられるようにと私を厳しくしつけました。 ・アフリカなどでは、始終内戦があって日本大使館が退去命令を出しような状況になりますが、それでもシスターたちは、帰らない。神さまと約束した運命だからそこにとどまるんです。 ・私たちは、重大なことを教えらえていたんです。沈黙に耐えられない人間というのはろくなことがない。 ・平和の定義なんて簡単なもんです。誰もが明日まで多分生きていられるのだろうという状況を作ることなんです。 ・ここですごく鍛えられた。書いた作品を本人が読み上げ、それをみんなで批評する。重箱の隅をつつくように文章の欠陥を指摘されました。 ・どんな複雑な思想も状況も、平易に表現できないとダメなのだということを学びました。 ・「あいつとだけは結婚するな」と言っていたけれど、私は素敵な人より、本当のことを言う人がいいと思っていた。お蔭様で、今でも毎日、笑っていられます。 ・罪と咎は別物でギリシャ語でも別の言葉が当てられていることを知りました。つまり、咎は、人間がうっかり犯すもので、罪は、意識的に神を裏切ることを承認した上で犯すものです。罪を決定するのは、神のみがする仕事でした。 ・私は、五十歳を過ぎてからたくさんの神父や修道女が途上国で働いている姿を見ました。その人たちは現実に仕事に命をかけていました。命をかけていないような行為はつまり遊び半分なのです。 ・たぶん人間の幸福とは感謝を持てるということでしょう。 ・私が一番恵まれていたのは、たくさんの個性的な魂に出会えたことです。私は、その方たちを深く尊敬するというこの世の悦楽を味わいました。 ・実は、日本は、地球上でも天国に近い豊かで平等な国なんです。 ・平和は願ってさえすれば実現すると考える人もいるようだけど、それも全く絵空事ですね。血を流す覚悟をするか、つらくなるほどの大金をだすか、どちらかの現実的な行為を担保に、平和は手に入れるものです。 ・私は子どものときから、人間の希望は基本的にかなえられないものだと思っていますから、大きな希望を持ったことがないんです。 目次は以下です 休まず書いた八千万字 まえがきに代えて 父の姿 母の作文教室 シスターの教え 戦争から学んだこと 「小説家になろう」 小生意気な仲間たち 始めての原稿料五万円 ゴミ箱の横に運命の人 二十代、執筆と育児の日々 不眠、うつ キリスト教は私の心棒 ある神話の背景 聖書の中にも小説の種 視力悪化 念願のサハラ砂漠へ 盲目で生きる人たちと聖地巡礼の旅 アフリカ支援 母の死 日本財団会長を引き受ける アフリカは偉大な教師 「私人フジモリ」と暮らす 大臣の誘い迷わず辞退 皇后様とよもやま話 日本人の画一化 友達運に恵まれた八十年
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今年90歳の曽野綾子さん、今もきれいな方です。高校時代や大学時代など若い頃は本当に清楚な美人さんですね。「曽野綾子自伝 この世に恋して」、2012.12刊行、2016.8新書。
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