1,800円以上の注文で送料無料

漂流 の商品レビュー

4

22件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

    6

  3. 3つ

    6

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2016/10/04

この一文、著者の著作のほとんどに通じると思う。 『現代の都市生活者は死が見えなくなり、死を経験することができなくなることで、死を想像することもできなくなった。そしてその結果、生を喪失してもいる。』

Posted byブクログ

2016/09/03

ノンフィクション作家 角幡唯介氏の新作。 彼の作品はほとんど読んでいるが、本作は今までのツアンポー峡谷、ヒマラヤ、北極海など、自らが行った探検が題材ではなく、南洋で遭難し行方不明となった、無名のマグロ漁師を追ったルポルタージュである。 舞台である宮古島は太平洋戦争の前後に、南方...

ノンフィクション作家 角幡唯介氏の新作。 彼の作品はほとんど読んでいるが、本作は今までのツアンポー峡谷、ヒマラヤ、北極海など、自らが行った探検が題材ではなく、南洋で遭難し行方不明となった、無名のマグロ漁師を追ったルポルタージュである。 舞台である宮古島は太平洋戦争の前後に、南方カツオ漁で栄華を誇った時代があったらしい。宮古島には自分も一度訪れたことがあり、作品に登場する池間の漁港にも行ったが、その時は漁船よりもダイビングスポットである、八重干瀬に向かう観光船の方が多かったように記憶している。 作品は単なる遭難事故の記録にとどまらず、佐良浜の人々が海洋民として歩んだ歴史を、漁業という観点から照らしている。当時を知る様々な関係者に取材を行っており、探検家ではなく元新聞記者という、角幡氏のもう一つの側面も垣間見る事が出来た。 そして取材は沖縄だけではなく、主人公の本村実が漁で訪れた、グアムやフィリピンにまで及んでいる。おそらくは、この作品が世に出なければ一生知る由が無い、一人の漁師の壮絶な人生に触れる事が出来た。想像以上のスケール感で、角幡作品の中でも傑作と言って良いと思う。

Posted byブクログ