ゲノム編集とは何か の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
純粋な科学技術は日進月歩で進んでるんだろうが、遺伝子治療の倫理問題とかGMO規制とか、結局は技術の外側の問題が厄介で難航するのが現実世界。 原子力開発の二の舞は避けたいよなあ。
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話題のゲノム編集技術がもたらしうる未来について。一般読者にはわかりやすいはず。専門家にとっても社会と新技術との向き合い方を考察するのにとても参考になる。
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従来の遺伝子組み換えと違い、目的のDNAを的確に切り貼りできる技術が開発されました。 これを用いれば、怪我・病気に強く、知能や体力や容姿が優れている強化された人間を作り出すことも理論上可能です。 簡単で確実な技術であるため、自分を改良、自分の子孫を改良、人造遺伝子によって生まれる...
従来の遺伝子組み換えと違い、目的のDNAを的確に切り貼りできる技術が開発されました。 これを用いれば、怪我・病気に強く、知能や体力や容姿が優れている強化された人間を作り出すことも理論上可能です。 簡単で確実な技術であるため、自分を改良、自分の子孫を改良、人造遺伝子によって生まれる完全に近い人間の誕生、などは遠くない未来の話となるかもしれません。 SFの世界が現実となりつつある今、参考となる一冊。
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人類はクリスパーという名の優れたメスを手に入れた。しかし、どこを切ればいいのかを示す地図は未だなく、その公算も立ってはいない。
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遺伝子編集技術として革命的な「クリスパー・キャス9技術」を紹介した本。遺伝病の克服など多くの分野での利用が期待されている。クリスパー・キャス9の特長は、「DNA上の狙った箇所をピンポイントで切断、あるいは改変する脅威的な精度とスピード」にあるという。これまでの遺伝子組み換え技術と...
遺伝子編集技術として革命的な「クリスパー・キャス9技術」を紹介した本。遺伝病の克服など多くの分野での利用が期待されている。クリスパー・キャス9の特長は、「DNA上の狙った箇所をピンポイントで切断、あるいは改変する脅威的な精度とスピード」にあるという。これまでの遺伝子組み換え技術とは格段の差が生まれる。また、これまでの技術がマウスに対してのみ適用可能な技術であったりしたところが、汎用的にすべての生物で使えるようになったことも大きい。 クリスパー・キャス9の説明だけでなく、エクソンやイントロン、選択的スプライシングの話など最新の遺伝子工学の知見を解説した記述も多く楽しめる。チンパンジーとヒトでは98%の遺伝子を共有しているとか、ヒト同士であれば、個人間のゲノムの違いは0.1%でしかない(0.1%でも320万箇所だが)とか、ヒトよりもネズミや稲の方が遺伝子が多いとか、いった雑学的な情報も入っている。SNPやSNVの定義も初めて知ったかもしれない。また、自然界での突然変異は比較的ありふれたものである。いずれにせよ、NHK編の『ゲノム編集の衝撃』よりも細かいことが書かれている。 ダウドナ、シャルパンティエというUSCの女性科学者たちとブロード研究所のフェン・チャンの間での特許権の争いにも触れられている。膨大な金額が動いてもおかしくない技術でもあるので、なかなか泥沼的なにおいがしている。 「「全能の技術」を手に入れてしまった私たち人類は、これから、どう進むべき道を決めていけばいいのか? 今の筆者に、その答えは思い浮かばない。あなたはわかるだろうか? 少なくとも、それを考える手がかりに本書がなり得たと願って、その筆をおきたい」と最後に書く。今後ともにその応用事例含めて追いかけらるべき技術でもある。 2016年9月、遺伝子組み換え種子で有名なモンサント社を独バイエル社が買収。彼らが使ってきた遺伝子組み換え技術とクリスパー・キャス9の遺伝子編集技術とは異なるものであることは本書でも解説されているが、こういった合併による巨大化よって、ますますDNAの研究と商用開発も加速していくのかもしれない。
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グーグルやアマゾンといったIT企業が取り組んでいると書いてあったから興味があって読んでみたのだけど、ITは全く関係なかった。 ゲノム編集というものを自分は全く知らなかったのだけど、遺伝子を簡単に修正できるという革新的な技術らしい。生物学は全く感心がなかったけど、結構すごいことにな...
グーグルやアマゾンといったIT企業が取り組んでいると書いてあったから興味があって読んでみたのだけど、ITは全く関係なかった。 ゲノム編集というものを自分は全く知らなかったのだけど、遺伝子を簡単に修正できるという革新的な技術らしい。生物学は全く感心がなかったけど、結構すごいことになってるんだなぁ。よくわからないけど、高校生でも短期間で使えるようになるんだとか。とりあえず、鼻炎とアトピーを治したい。 なお、シンギュラリティーで有名なカーツワイルは、シンギュラリティーの起こる2045年まで生きるために250種類ものサプリメントを飲んでいるのだとか。それって、余計に体に悪そうな気がするのだけれども……。 遺伝子の数と知能の数は比例しないということに結構驚いた。人よりも、マウスや稲のほうが多いぐらいらしい。 後、自分のALDH2の遺伝子はA(アデニン)なんだろうなと。下戸で、お酒飲めないし(コップ半分飲むと吐くことがあるので、もう飲まないことにした)。 それと、妊婦が極端なダイエットをすると、生まれてくる子どもが肥満になりやすいというのも驚いた。理由は、胎児の間に栄養不足でも生き残る性質になったため。てっきり、逆なのかと思ってた。 まあ、これだけすごい技術なので、そのうちノーベル賞をとるのは間違いないとのこと。残念ながら、日本人は候補に入らなさそうだけど、ノーベル賞候補となる技術を先に知っていることによる優越感に浸っておこうと思う(ただし、ゲノム編集のきっかけとなったクリスパーというものを発見した人は日本人らしいので、ありえなくはないとのこと)
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クリスパーという技術はちょっとすごい。 大げさに言えば農業革命、産業革命、IT・AI革命に匹敵する遺伝子革命になり得るだろう。 人間というものは、理念や目的なんかではなく、技術が歴史をドライブしていくのだと改めて痛感。
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「ゲノム編集」という言葉を時々目に、耳にするようになって1~2年。 正直言って、本書を読むまで私は恥ずかしながらゲノム編集と遺伝子組み換えの違いを理解してはいなかったし、遺伝子やDNA、ゲノムに染色体といったそれぞれの用語が定義するものの区別もついていなかったが、それらの疑問が氷...
「ゲノム編集」という言葉を時々目に、耳にするようになって1~2年。 正直言って、本書を読むまで私は恥ずかしながらゲノム編集と遺伝子組み換えの違いを理解してはいなかったし、遺伝子やDNA、ゲノムに染色体といったそれぞれの用語が定義するものの区別もついていなかったが、それらの疑問が氷解するよう、最新の情報とともに分かりやすく説明してくれている。 科学的な理屈を最低限、キッチリと解説しつつも、門外漢に理解不能なレヴェルに陥らない、絶妙なバランスで書かれていると思う。 技術的に"できる"ことであるならば、その極限に挑み、押し上げ続けるのは研究者の性であろうし、また存在意義でもある。 このゲノム編集という技術に関しては、当然そこに「倫理」という別の枠組みを導入すべきなのは間違いないが、それがどこまで機能するのか、疑念は拭い去ることはできない。 ここまで技術は進んでいたのか、と先達の功績に感動を覚えるとともに、来るべき未来にうすら寒さのようなものを感じてしまう、そんな一冊だった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
最近よく耳にするクリスパーCasについてよくまとまっている。 ・ノーベル賞間違いなしと言われているが、この技術の特許を巡ってダウドナ、シャルパンティエというUSBの女性科学者たちとブロード研究所のフェン・チャンの間で熾烈な競争があるらしい(著者はダウドナーシャルパンティエ組の肩を持ちたいような書きぶりだが、実際の応用が早かったということや米国の先発見主義(論文発表は遅かったが実験ノートを提出して発見は早かったことを主張した)のからみもありフェン・チャンが今のところ基本的な特許を認められているらしい) ・クリスパーは回文構造になっている。すなわち、AGGに対するTCCのように、数十文字の回文がいくつかあり、その間に宿主をかつて攻撃してきたウイルスの断片が挟まっている。 クリスパーの近辺にはCsn1(後にCas9という名前に変更された)というヌクレアーゼ酵素がある。これはクリスパー構造によって認識されたDNA二本鎖を日本とも同時に切ることができる。 従来のノックアウトマウスの作成法では、DNA断片を導入するだけで100万分の1の確率であった。しかも導入は一本鎖にしか行なわれなかったため、その後、マウスを交配して相同組換えをおこして二本ともノックアウトする必要があり、うまくいっても一年がかりの作業であった。クリスパーCasであれば3週間で完了する。 ・21000人の患者と38000人の健常者を対象としたGWAS研究によって統合失調症のリスクとなるSNP108個が同定されているが、全てを足し合わせても発症要因の5−7%にしかならない。25万人を対象としたGWASで身長を規定する遺伝因子も697個見つかったが、やはりこれ全てを足し合わせても身長を決める遺伝的要因の16%程度にしかならないと見積もられている。
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