定本丸山眞男回顧談(下) の商品レビュー
【目次】 13 戦中戦後の自由主義 14 戦後の出発に向かって 15 三島庶民大学 16 生活問題としての戦後 17 太平洋戦争を省みる 18 アジアへの目 19 思想史研究と講義 20 サンフランシスコ講和・朝鮮戦争・六〇年安保 21 法学部改革・東大紛争・辞...
【目次】 13 戦中戦後の自由主義 14 戦後の出発に向かって 15 三島庶民大学 16 生活問題としての戦後 17 太平洋戦争を省みる 18 アジアへの目 19 思想史研究と講義 20 サンフランシスコ講和・朝鮮戦争・六〇年安保 21 法学部改革・東大紛争・辞職 22 ポスト戦後と学問の将来 松澤弘陽の「解説」によれば、『丸山眞男集』編集スタートをきっかけに、1988年から1994年まで続けられた17回の聞き取りをまとめたもの。インタビュアーは事前に質問と参考資料を丸山に手交、丸山側も準備して会に臨んだという。下巻は「定本」の現代文庫版で読了。 丸山の談話を読んでいると、「東大法学部」(東京帝大法学部)なる組織の、まるで「元老院」のような権威というか、「威厳」を持つことを求められた組織独特の雰囲気のようなものが伝わってくる。田舎者で私学畑の自分には到底なじめないような感覚だ。でも、そんな雰囲気の中で丸山が大学教育の「改革」に向けて取り組んでいた、という話はなかなか新鮮だった。また、体調を理由に辞退していなければ、1968年の大学紛争時に法学部長だった、という話も初耳。 また、丸山の語る言葉から、自分には哲学的な素養や訓練が圧倒的に欠けていることを突きつけられた。「そもそも」という大局に立って、一定の基礎付けの上にものごとを考えたり論じたりするという発想は、少なくとも近現代の文学研究者には欠けている。それが文学研究/文化研究のアクチュアリティにつながっているとも言えるが、その一方で、学術的な蓄積の難しさを結果しているとも言える。
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下巻は敗戦後から東大辞職まで。「超国家主義の論理と心理」、「軍国支配者の精神形態」の執筆過程や三島庶民大学での講義など、戦後復興期における社会科学への熱気が伝わってくる。丸山が東大法学部の改革に挫折していたことは、本書で初めて知った。また、朝鮮における「親日派」再評価の必要性を詳...
下巻は敗戦後から東大辞職まで。「超国家主義の論理と心理」、「軍国支配者の精神形態」の執筆過程や三島庶民大学での講義など、戦後復興期における社会科学への熱気が伝わってくる。丸山が東大法学部の改革に挫折していたことは、本書で初めて知った。また、朝鮮における「親日派」再評価の必要性を詳細に語る辺りは、いかにも丸山らしい。 上巻に引き続き、詳細な注が付けられており、丸山のような人物ですらも数多くの記憶違いをしていることに驚く。聞き取りを歴史資料として利用することの難しさを痛感した。
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