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ヒップホップコリア の商品レビュー

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2020/12/24

 2015年ごろまでの韓国のヒップホップの歴史とアーティストを網羅的に抑えた1冊。「Show Me The Money」 という韓国で大人気のヒップホップリアリティショーにハマった。これをきっかけに韓国のヒップホップをdigろうとしたけどもネットの情報は断片的で分かりにくいところ...

 2015年ごろまでの韓国のヒップホップの歴史とアーティストを網羅的に抑えた1冊。「Show Me The Money」 という韓国で大人気のヒップホップリアリティショーにハマった。これをきっかけに韓国のヒップホップをdigろうとしたけどもネットの情報は断片的で分かりにくいところもあり、このようなムックがあるのはとても助かった。メインコンテンツは主要アーティストのバックグラウンドと代表曲の解説、ときにインタビューを交えつつ深堀してくれている。特に今はストリーミング時代なので本に載っている曲が数クリックで聞ける。顔と曲を合致させていく作業を繰り返していくことで韓国のヒップホップの奥深さ、曲のクオリティの高さ、フロウ/音楽的な豊かさをビシビシ感じてどんどん沼にハマっていく感覚だった。日本とUSのヒップホップを曲がりなりにも長らく聞いてきたけど、その2つとも全く異なる魅力が韓国のヒップホップにある。ほぼ同じタイミングでUSから輸入したのに日本となんでこんなレベルが違うのか?その辺りを著者が考察した記事もめちゃくちゃオモシロかった。またどういった経緯でシーンが形成されたのか、歴史も知ることができて勉強になった。  こういうムック本だとなるべく客観的に書こうとするものだけど、本著はインタビューを筆頭に著者の主観的なパースペクティブが良い意味で作用していて「とにかく韓国のヒップホップが好きで広めたい!」という熱い気持ちがビシバシ伝わってくる。そして情報にリーチするのが難しい韓国のヒップホップの情報を求めて読んだ僕のような読者はその気持ちに呼応してブチ上がるのである。また著者と共に粋な夜電波という番組を通じて韓国のヒップホップをメディアで主体的に紹介していた菊地成孔の寄稿も本著のハイライトであろう。なにしろ韓国のヒップホップと出会ったときの驚き/戸惑い/喜びが綯い交ぜになる、この感情が明確に言語化されていた。ヒップホップは変化の激しい音楽であり特に韓国はレーベルの動きも多いので、2015年以降の状況が反映された続編を首を長くして待ちたい。

Posted byブクログ