犬恋花伝 青銀の花犬は誓約を恋う の商品レビュー
表紙買い。コバルトにしては恋愛色ゼロのファンタジー作品でした。友情?相棒?家族?といった正しいかな。設定がとても素敵で最後はじんときた。
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久しぶりにコバルトのファンタジーらしいファンタジーを読んだなぁ〜と感じさせてくれる本です。 2014年ロマン大賞最終候補作を改稿してのデビュー作です。 ロマンであって、ロマンスではありません。犬が人型になったりもしますが、花操師になりたいヒロインが、花犬と信頼関係を築くまでの物語...
久しぶりにコバルトのファンタジーらしいファンタジーを読んだなぁ〜と感じさせてくれる本です。 2014年ロマン大賞最終候補作を改稿してのデビュー作です。 ロマンであって、ロマンスではありません。犬が人型になったりもしますが、花操師になりたいヒロインが、花犬と信頼関係を築くまでの物語なので、恋とはちょっと違います。でも、ワンコ萌えはできます。 犬とコトナの会話にほっこりしながらも、すれ違いが切なくてシリアス。丁寧な描写や、メリハリの効いたストーリー展開で、好感でした。 二人の成長はまだまだながら、この巻だけでスッキリとまとまっています。 あらすじなど下記 http://books117117.blog110.fc2.com/blog-entry-5351.html
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
少女小説が読みたくて、信頼と実績のコバルト文庫の棚をあさって目に付いた本。表紙には色鮮やかな花草に囲まれて立つ民族衣装を身に付けた少女と寄り添う大きな犬、その後ろに薄く描かれた人物の姿。あーこれ絶対面白いぞー!?で買ったんだけど、面白かった。表紙の力って大きいよね。 世界観は、好みが分かれるんじゃないかと思う。海外ファンタジーが苦手な私の友人なんかは読めないかも。私は作者が想像豊かに生み出した世界に夢中になった。めっちゃおすすめである。とんでもなく魅了されたので、主にこの世界を紹介してレビューとしたい。 『犬恋花伝』の世界には、人と獣両方の姿を持つ「花犬」という生き物がいる、というのがこの物語を読む大前提。彼らは花を主食としている。どうも読み進めていくと、この花犬、元々は人間の言葉を話すことはできないが訓練すると覚えることができるという、高い知能を持った生き物のようだ。個体によって、体格も毛色も性格も異なり、さらには優れた花犬は、水を操ったり火を操ったりというファンタジックな能力まで持つ。 ちなみに、生まれる花犬には、身体の弱い個体もいる。育てても役にたたないだろう花犬は、早くに捨てられてしまうこともある。育てるのにだって労力がいるのだ、世界は弱者に厳しい。そんな弱者であるところの白い花犬・ハルシを拾ったのが、花育人の生れであるコトナであった。ハルシを拾ったことから、コトナは花育人の生まれでありながら、花守人として、花犬と共に狩猟をする花操師として生きていく道を選ぶ。物語は遡れば、概ねこんなところから始まる。なお、このハルシ、表紙に描かれた犬ではない。勘のいい人は、このあたりで何かを察していただきたい。 また新しい言葉が出てきたな!?と思った人、構えるほどややこしくないから安心してほしい。『犬恋花伝』の世界では、古くから人と花犬が手を取り合って暮らしてきた。花を主食とする花犬のために人は花を育て、人のために花犬はその牙でもって獲物を狩る。花を育てることを先祖からの生業にしているのが花育人、そして狩猟に携わるものを花守人という。課せられた試験に合格し、花犬を相棒に狩猟をするものを特に花操師という。花犬と花操師の間には特別な絆が存在する。彼らは、友であり家族であり、そして恋人でもある。どちらかが死なない限り、彼らは生涯を共にする。特に花犬は、自らの花主が死なない限り、主を変える事はできない。とんでもなく―――ロマンチックで私好みの設定! その他に覚えておくといい設定としては、人にも部族があり、部族によって花犬の扱いが違うことである。ヒロイン・コトナの部族では、花犬の意志が尊重され、花操師と花犬との絆の主体は花犬である。花犬が主を選ぶのだ。そして、表紙に描かれたもふもふで凛々しい大きな花犬・セキが生まれた部族は、人に主体がある部族であった。 世界を中心に、とは言ったが、やはりキャラクターや物語にも触れざるを得ない。このセキという花犬、とても優秀で将来を期待された花犬だったのだが、凶暴で巨大な「赤鬼」との異名をとる犬に臆病傷を付けられ、「療養」の名目で部族を追い出され、コトナに預けられることになるのである。プライドをへし折られた上に部族から厄介者あつかいされたセキ、見知らぬ土地での暮らしとなれなれしいコトナ・子どもっぽいハルシに、最初のうちこそふてくされ戸惑ってはいたが、段々と心を許し、いつしかはコトナを花主にしたいと望むまでになる。コトナにとっては二度目の花操師の試験、コトナとハルシとセキ、一人と二匹がそろって挑んだ試験で、他の受験者が帰ってこなかった。その受験者の捜索で、ハルシは「赤鬼」に殺されてしまう。ずっと一緒だった、大好きなハルシを失い、どこかぽっかりと空いた空白を埋める事ができないまま、花操師への昇格試験、コトナにとって挑戦できる最後のチャンスである3度目の試験が近づいていた。 あとは実際に読んでもらいたい。コトナとサキの心の動きが丁寧に描かれていて、読み終わるとなんともいえない幸福感がある。副題がついているということは続刊に期待してもいいんですかね期待してますコバルト文庫集英社さんよろしくお願いしますね! サキは思い悩んでいたせいか生来の彼のキャラクターを出し切れていないと思うんでぜひコトナとサキの二人のお話を! 他の花犬と花主の話でもいいですよ! この世界の物語をもっと読みたい! 神話時代に遡っていただいてもいいですよ! なお、私が読み終わったあと呟いた言葉は「ご結婚おめでとうございます」でした。※作中で結婚するキャラクターはいません
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