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密室の戦争 の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2020/08/31

海軍経理学校で故中曽根康弘氏と同時期に学び、海軍主計大尉として南方で捕虜となった稲垣利一氏の足跡を追った本。夜中にやってたNスペの再放送に釘付けになり思わず購読。 生きて虜囚の辱めを受けず、の先の想像力の欠如(というか、考える必然性もなかった)が招いた捕虜から得られた機密情報が敗...

海軍経理学校で故中曽根康弘氏と同時期に学び、海軍主計大尉として南方で捕虜となった稲垣利一氏の足跡を追った本。夜中にやってたNスペの再放送に釘付けになり思わず購読。 生きて虜囚の辱めを受けず、の先の想像力の欠如(というか、考える必然性もなかった)が招いた捕虜から得られた機密情報が敗戦を早めた事実が、ひしひしと伝わってくる。

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2017/07/27

ひところ ある少年が 「なぜ、人を殺しちゃいけないのですか?」 という問いを発して、 そこにいた大人が絶句してしまった というような話が盛り上がったことがあった ほんの10年ほど前のころだったと思う この筆者の片山厚志さんが「あとがき」に ー戦争の当事者たちが健在であった時代に...

ひところ ある少年が 「なぜ、人を殺しちゃいけないのですか?」 という問いを発して、 そこにいた大人が絶句してしまった というような話が盛り上がったことがあった ほんの10年ほど前のころだったと思う この筆者の片山厚志さんが「あとがき」に ー戦争の当事者たちが健在であった時代には、゛語らないこと゛が何を意味するのか、社会の共通理解もあったのだろう。しかし今、「語られなかった」ことが、すなわち「存在しなかった」ものへと変わりは始めているのではないか。 と懸念されておられることに、全く同意します。 今、「なぜ、人を殺しちゃ~」 の問いを発するムードはますます深くなっている気がする 広く読まれて欲しい一冊である

Posted byブクログ

2017/04/26

 アジア・太平洋戦争時に連合軍が行った日本人捕虜の尋問録音記録を発掘・復元し、連合軍による捕虜「利用」の一端を明らかにしたノンフィクション。日本軍は周知のように捕虜になることを禁止し、少なくとも建前上将兵が捕虜になることを想定していなかったため、捕虜となった場合の振る舞いのあり方...

 アジア・太平洋戦争時に連合軍が行った日本人捕虜の尋問録音記録を発掘・復元し、連合軍による捕虜「利用」の一端を明らかにしたノンフィクション。日本軍は周知のように捕虜になることを禁止し、少なくとも建前上将兵が捕虜になることを想定していなかったため、捕虜となった場合の振る舞いのあり方を教育されておらず、実際に捕虜になるとまさに一切の寄る辺なき状況で「個」として硬軟織り交ぜた尋問に対峙させられたことがよくわかる。特に戦争犯罪の証言は重い。文献資料とは異なり、音声資料は取扱いが難しく、復元作業にはそれなりの労力と資金が必要で(ノイズを除去して聴ける状態にするのに相当苦心した様子が伺える)、NHKのような組織だからこそ取り組めたと言える。

Posted byブクログ

2017/02/07

遺族の方の言葉が一番印象に残る。「政府の方針に従うとか、空気を読むということではなくて、自分で考えて、自分が国のためになると思ったことをやることが愛国心だっていう、そういうことを言いたいんでしょうね。自分で考えろよ、と」。 しかし、番組への反応で、「反日の人物」と捉えて罵倒する声...

遺族の方の言葉が一番印象に残る。「政府の方針に従うとか、空気を読むということではなくて、自分で考えて、自分が国のためになると思ったことをやることが愛国心だっていう、そういうことを言いたいんでしょうね。自分で考えろよ、と」。 しかし、番組への反応で、「反日の人物」と捉えて罵倒する声があったとは。そんなに底が浅い人間が居るとは。

Posted byブクログ

2016/12/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

太平洋戦争において「生きて虜囚の辱めを受けず」と言われていた大日本帝国軍ですが、多くの兵士が捕虜となりました。 世界の軍隊では「捕虜になったら名前と階級以外は黙秘せよ」というルールが一般的でしたが、日本軍は「捕虜にならない」ということが前提だったため、そのルールは知らされておらず、捕虜への取り調べで多くの情報が流出することになりました。 この本はオーストラリアのブリスベン郊外にあったATIS(Allied Translator and Interpreter Section)にて、捕虜として収監されて取り調べを受けた場面の録音をもとに作成されました。 対象となったのは 稲垣利一 氏 湯目國夫 氏 尾方駒三郎 氏 横田茂樹 氏 の4名。 彼の肉声を聞き、筆者は遺族を探しながら、4人の人生に迫っていきます。戦場で何を考え、取調室で何を語ったのか。その背景にある思想とは。 【終わりに】より “国と国とが争い合う戦争”とは、結局はそれぞれの国の、“ひとりひとりの人間の行為”の集合だからだ。人を殺すのは、“国”という存在ではない。人間が、人間を殺すのだ。だからこそ、仮に命令だったとしても、その責を負うのは、国ではなく個人になる。 …戦争を、丁寧に分解していったときにたどりつく一個の人間が、実際に何をしたのか、その時何を感じたのか、そしてその行いは、人生にどのような影響を与えたのか…。それは、戦争画人間にもたらすもの、つまり僕たちが歴史から学ぶべきことそのものだった。

Posted byブクログ