70歳の日記 の商品レビュー
読むほどに著者に惹かれていく… 自分の弱さも素直に見せる姿が潔く、親しみを感じられる。 「独り居中毒患者」と表現するように、誰かと過ごす時間も豊かだけど、一人の時間を作れないとモヤモヤするところにも共感する。 きっとこれからも幸せを感じる一方で苦しみもあると思うけど、先を生きてき...
読むほどに著者に惹かれていく… 自分の弱さも素直に見せる姿が潔く、親しみを感じられる。 「独り居中毒患者」と表現するように、誰かと過ごす時間も豊かだけど、一人の時間を作れないとモヤモヤするところにも共感する。 きっとこれからも幸せを感じる一方で苦しみもあると思うけど、先を生きてきたこんな女性を知ると年齢を重ねることに希望を感じる。 「自分の人生と和解」という言葉も印象的。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
1ページ目、開いてサートンの笑顔! いままでの日記(特に直前の「回復まで」)が様々なところからくる苦悩と鬱の波に翻弄されながらの独り居生活だったので、沈んだところから始まるところがあった。でも今回はどうだろう、最初の日から自信に裏打ちされた、安定した喜びがあふれている。 「……でも私は、自分が年寄りになったとは思わない。ここまで長生きしてきたというより、まだまだ途上にあるという感じ。人がほんとうに老いるのは、先のことより過去のことばかり振り返るようになったときかもしれない。今の私は、これからのことがとても楽しみだし、いったいどんな驚きが待ち受けているかと思うとワクワクしてくる。」 70にしてこのみなぎるエネルギー、すごい。直前に読んだ本もちょうど著者が70歳くらいの時に書かれた本だったけど、恐ろしく疲れた果てた感じがしていたが、それは強烈なほど過去に拘泥していたからなのか、と腑に落ちる。私も最近大分老いていたなあ、と反省したり。 ようやく人気が出てきたのか、サイン会や朗読会に引っ張りだこで、ファンレターもたくさん届いて常に返事に追われている様子が綴られている。以前ほどアイデンティティがふらふらする様子もないし、パニックになったり疲れて動けなかったりという日々の精神のアップダウンはあれど、基本的に前向きな明るい意志が満ちている。その基調の上に、彼女が賛辞を惜しまない友人たちとの交流、移り変わる景色に咲き乱れる花々、生き生きと動き回る動物たちがいる。 読んでいるこちらも、それが嬉しくてしょうがない。だって、あんなに苦しみと真正面から取っ組み合ってきたんだもの。その向かった先にこの日記があるのは、希望以外の何物でもない。 今回も心に残る文章や引用がたくさんあって、せっせと手帳に書き写した。 自伝こそが文学の本質?という話の時に、「実に刺激的。刺激的というのは、私はそう思わないから。」と語っていて、素敵な表現だなあと思う。でもその後に直球なのが彼女らしい。 そう思わないな、という時って確かにさっと頭が活発になってその差異を計ろうとする。 私は自伝ではないけどエッセイを読むのが好きで、それはまさにここで触れられているような、その人の芯が見えるような気がするからなのだ。でもサートンは小説こそがごまかしのない、自己を純化したものだ、と言っていて、それも一理あるなと思った。たぶん、両方読むべきなんだよね。簡単に他人の芯を知ることができるなんて思ったら、おごった考えだけど……。 大好きな作家の梨木さんと通じるところを感じることは前にもあったけど、今回冒頭で「いいことも悪いことも、つらいこともうれしいことも、すべてが一枚の色鮮やかなタペストリーを織りなし、思索や成長の糧となってくれる」と言っていて、からくりからくさを思い出して勝手に嬉しかった。植物とペットに対する偏愛と言い、気が合ったろうな、とこれまた勝手に思ったりして。
Posted by
米国の女流詩人・小説家のメイ・サートンによる70歳の1年間の日記。作家として著作・朗読・多くの手紙への返信に追われながら、メイン州の海辺の家で愛犬と愛猫そして自ら栽培する花々に囲まれて日々を過ごす。多くの友人を迎え、自ら訪問する交流の豊かさ。400ページにもなる日記が最後まで飽き...
米国の女流詩人・小説家のメイ・サートンによる70歳の1年間の日記。作家として著作・朗読・多くの手紙への返信に追われながら、メイン州の海辺の家で愛犬と愛猫そして自ら栽培する花々に囲まれて日々を過ごす。多くの友人を迎え、自ら訪問する交流の豊かさ。400ページにもなる日記が最後まで飽きずに読めたのは、サートン氏の率直さと優しさに触れることができたためだろう。
Posted by
- 1