喰い尽くされるアフリカ の商品レビュー
石油や天然ガス、鉱物資源が豊富にも関わらず、国民の大半が貧困にあえぐアフリカ。これを「資源の呪い」とも呼ばれている。 呪いのカラクリは下記の流れによる。 資源の売買により外貨が流入 →国民に課税して政府の資金を集めなくて良い →富や権力の集中、独裁政治 通読はしていないが...
石油や天然ガス、鉱物資源が豊富にも関わらず、国民の大半が貧困にあえぐアフリカ。これを「資源の呪い」とも呼ばれている。 呪いのカラクリは下記の流れによる。 資源の売買により外貨が流入 →国民に課税して政府の資金を集めなくて良い →富や権力の集中、独裁政治 通読はしていないが、ナイジェリア、アンゴラ、ガーナなどに対する取材成果が詰め込まれている。
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ディカプリオ主演、ズウィック監督の映画『ブラッド・ダイヤモンド』が好きな人であれば誰でも興味を持って読める内容だろう。(この映画はあらゆる点で最高の作品で本当に皆におすすめしたい。) もし日本の地下に石油やダイヤモンドが存在したら、日本人としては嬉しいと思うだろう。しかしアフリカ...
ディカプリオ主演、ズウィック監督の映画『ブラッド・ダイヤモンド』が好きな人であれば誰でも興味を持って読める内容だろう。(この映画はあらゆる点で最高の作品で本当に皆におすすめしたい。) もし日本の地下に石油やダイヤモンドが存在したら、日本人としては嬉しいと思うだろう。しかしアフリカ諸国では実際に石油や鉱物資源が豊富にあるのに国民は豊かになれず、逆に貧困にあえぎ虐殺の危険にさらされている。 こうした状態のさまざまな国の具体例を挙げて、著者が端的に言うところの「資源の呪い」に陥ったアフリカの今が描かれている。そしてその状況はグローバル経済によって我々と結びついている。単純に欧米や中国が悪い、というような話では無いと思う。 あと、この本をまとめあげた著者の執念みたいなものをとても感じた。たいへんな力作であり、スリリングな小説のように面白く読めた。
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製造業がアフリカの生産高を占める割合。それがまさか現代になって低下したというから驚きだ。しかもそれは未だに改善されず10%前後。 資源産業が国の中心を占めているという「オランダ病」が災いして、アフリカ諸国は「資源の呪い」にかかっているから、このような事態に陥っている。 「政府...
製造業がアフリカの生産高を占める割合。それがまさか現代になって低下したというから驚きだ。しかもそれは未だに改善されず10%前後。 資源産業が国の中心を占めているという「オランダ病」が災いして、アフリカ諸国は「資源の呪い」にかかっているから、このような事態に陥っている。 「政府が天然資源から得る収入は、いわば不労所得である。この種の収入は「資源レント」と呼ばれ、国家を支配する人々が勝手に使える資金を大量に生み出すだけでなく、場合によっては統治者と国民との社会契約すら破綻させてしまう。国民に課税して政府の資金を集める必要がなくなるため、国民の同意すら取り付ける必要すらなくなるからだ。 天然資源で利益を上げている政府は、政府の利益になることに国の収入を費やす。そのため、教育支出は減り、軍事予算がふくらむ。また、資源産業には汚職がつきものであり、権力者たちはその座を手放そうとはしなくなる。その結果、独裁政 治が生まれる」 徐京華に端を発するクィーズウェイグループのことを、具体的かつ深刻な例として書ききっている点が鮮やかだ。 資源を搾取されるという意味では帝国時代と変わりないが、その構造が複雑化しているという様相は、まさにネグリとハートの言う〈帝国〉だ。 「アフリカに生まれた新たな帝国を支配するの は、もはや国家ではない。何ら国民に責任を負わず、影の政府を通じて国土を支配するアフリカの政治家、彼らを世界の資源経済と結びつける仲介者、企業秘密を盾に汚職を行なう東西の多国籍企業。これらの3つの勢力がアフリカを支配している。」
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